2013年11月17日日曜日

Pinball Arcade

通常のSteam販売ではなく、インストール後にアカウントにアンロックを行う事でテーブルを追加できる。トライアルでも十分遊べるが、現在オペレータモード付きで全部のテーブル(Official)を買っても$90なので安い。多分遊ばない台も沢山あるとは思うのだが、でもまぁ実際に程度の良いピンボール台を遊ぶというのは一部の地域を除けばほぼ不可能な訳でテーブルのライトの点滅を眺めているだけでも結構楽しい。

現在の目玉としては版権が高そうで無理と思われていたTerminator2(この際、Kickstartarの1いや、3件は忘れよう…)。仕事が終わってから店に行って夜中まで遊んでいた。幸運にも素晴らしく状態が良く(メンテナンスが頻繁に行われていたので)音楽も非常に良く聞こえた。Pinball Arcadeで初めて知ったのだが、私の行っていた店はフリッパーをかなり強めに設定されていたので、プレイはちょっと違和感がある。でもあの音楽が聞けるのならまぁ安い物だ。

Bally、Williamsだけがピンボールの私にとってはSternとかGottliebの台は正直興味が沸かないが、ピンボール史的には重要なのだろう。後者2社のタイトルは、まぁ…その…全然知らない台ばかりだ。それぐらい興味が無かったという事なんだろうな。他には漫画で扱われたTwilight Zone(漫画内では別の名前になっている)、私の住んでいた所では入荷しなかったので初めて遊んだ。

物凄いインフレスコアで驚いた。ちょっと遊んだだけで二千万とかですよ。人気のある台らしいのだが、私には難しすぎる。

しかし、ピンボールのコンピュータオリジナルの作品は結構数がある(私も結構買った)のだが、面白いと感じた作品は正直無い。もちろんBally、 Williamsの台が全て面白い訳では無いのだが、デザイナーの差なんだろうか、それとも音楽なんだろうか。最初は実際に遊んだ事のある台だからなのか?と思ったがそういう訳でも無いようだ。

全然Pinball Arcadeの話をしてないよ。
解像度を上げて設定をかなり高くしても画面はそれほど綺麗にならない。モデリングも結構ガクガクしている(携帯電話とかでも遊べるようにそうなっているのかも)のと、ボールのシミュレーションもあまり良くない…らしい。私にはその辺はよくわからない。ボールにスピンが掛かって変な動きをしないのは確かに感じる。あと、筐体に刺さったりしない。刺さっても困るが。夜の店で見るとピンボール台というのはとてつもなく美しく見えるのだが、残念ながらゲーム画面ではそうならない。アップデートは頻繁に行われてはいるようだ。

インターフェイスはゲーム機と同じ物が使用され、使いづらい。Xbox360版と同じだ(但し、マウスが使える)。コントローラーが使用できるのでキーボードの心配はいらない(もちろん惜しくないなら別)
初期設定のカメラだと近すぎてうんざりすぐが、切り替える事ができる(但し固定はできない)ので吐きそうにはならなくできる。まだ試していないが、画面ローテートができるらしいので、Pivot付きのモニターだと縦長で楽しめるのか。残念ながら今のメインモニターはPivotが無いので試すとしても数年先になりそうだ。

実機のピンボールが好きで、多少のシミュレーションの雑さが気にならないなら音だけ(実機からサンプリングしたらしい)でも楽しめると思う。少なくともメンテナンスはいらないし、フィーチャーが壊れていたりする事もなく、フリッパーがヘタったりもしない。セガの直営店みたいにアウトレーンに入りやすくしてある事も無い。頭上で流行りの曲が掛かっていて音が何も聞こえないという事も無い。もちろん臨場感は全然実機に及ばないが、それが欲しければ実機を買うしかない話だ。私は置く場所もメンテナンスする能力も無いのでPinball Arcadeで十分楽しめる。


本棚にあるピンボールグラフィティ。なんかとんでもない値段に。電子書籍とかで出るといいですな。いくらなんでもこれでは手に入る値段じゃない。これ見て、色々な所に行って半壊した(フィーチャーが壊れているのは当たり前、フリッパー片側しか動かないとか)ピンボールを探して歩いたものだ。健康ランドみたいな所とか、スーパーとかまで探して歩いた記憶がある。まだまだ遊んで見たい台が一杯あるので長く続くといいな。White Waterはあるので、Black Knight2000(2月16日追記:3期で追加された)と、Getawayとか、Cycloneとか…。


Williams Pinball BLACK NIGHT 2000 Sound Track

Terminator 2 Judgement Day pinball music


The Getaway - High Speed II pinball music

2013年11月6日水曜日

艦隊これくしょん

DMM.comとKADOKAWA GAME製作のゲーム。
旧日本海軍の艦船をモチーフに架空の海戦(?)を戦う。

数ヶ月前、友人からメールで「今、艦これやってるよ」と聞く。
「それってスマートフォンとか携帯のゲームなんだよね?」と尋ねると、「いや、ブラウザのゲーム。やってみたら…と言いたいとこだけど今はログインできないかも知れん」

という訳で実際にログインしたのは1ヶ月ぐらい前の話になる。
艦船をメインに扱ったゲームというのはゲームのデザインではかなり稀な世界で私が持っているのは水上スポーツを扱ったのを除けば、Pirates!(GOG)とGreat Naval Battles(Wikipedia)ぐらいしか思い付かない。…ああ、Silent Hunterとかもあったね。


IE 2 PC games review - Great Naval Battles 2 (1994)
YouTubeの物は続編のガダルカナル編。最初に出たのは北大西洋編。

Great Naval Battlesでは昼間の大型艦同士の戦いが昔の絵物語で見たような激しいものではなく、 主砲斉射後、着弾に50秒とか掛かるというのが驚きだった。

見せて頂いた作品ではCarrier At Warとか…後は思い出せないがHobby Japanから出ていた太平洋戦争のゲームとか見せて貰った…記憶が。Silent Serviceとかマニュアルだけ見せて貰ったな。という訳で実際のとこ、陸海空だとゲーム的には陸80%、空18%、海2%ぐらいの比率になるのか。という訳で海戦を扱ったゲームというのは稀な存在ではあるようだ。(ボードのゲームだと海戦のゲームは結構多い記憶がある。思い出すだけでもFlat Top、War At Sea、Midway、Iron Bottom Sound、IJN。逆に空戦が少ないな)

さて、脱線して参りました。という訳で戻って艦隊これくしょん(以下、「艦これ」と略す)実際の戦闘フェイズ処理はともかく、最初の手応え的にはブラックオニキスみたいなRPGだ。特に駆逐艦中心の初期は貧弱な防御力を補う高い回避力(≒運)が必要で軽巡が入り水雷戦隊を組、重巡で耐久力と火力が増大…やがて戦艦、航空母艦等が登場する。という流れになる。プレイヤーは4つの資源(時間とクエストで増える)、石油、弾薬、鉄鋼、ボーキサイトを元に艤装を開発したり船を建造したりする。艤装も建造も資源割合を決めた後は運なので定期的に作って良いのが出るのを祈るという形式だ。

デザインとしては各艦艇の役割が決まっており、必ずしも大型艦艇=強いという設定になっていない所が良く出来ている。また、資源の需要も序盤はほとんど必要としない(駆逐艦や軽巡は運用による資源消費が少ない)状態から重巡、戦艦と運用が始まり弾薬の消費量が増大、空母を戦列に加える事で大量のボーキサイトの消費、大型艦建造による鉄鋼枯渇などマネージメント部分も良く出来ていると思う。羅針盤(ルーレット)による移動はちょっとな…とは思うが、そういうジャンルらしいので諦めるしかなさそうだ。


Hobby Japanは買った事(20数年前)あるが、初めてModel Graphixを買った。Takumi明春(takumi明春の艦船模型至福への道)という方の作例が数十点載っているのだが、もうなんというか異次元の出来。これが1/700というのは信じがたい。私は模型に詳しくないので友人に聞くと「有名人」なのだそうだ。そりゃそうだな。ともかくゲームを知らなくても一見の価値あり。


表紙で買うのに抵抗があるかも知れないが(私はあった)プロデューサーインタビュー6ページが読み応えあり。他、艤装の一覧が載っていて見やすい。40ページが艦これの記事。イラストを書いた方二人のインタビューがそれぞれ1ページ。艦これ以外の記事は頑張って読んではみたが知らない作品ばかりで頭に入って来なかった。
デザイナーズノート系が好きな方は購入する価値あり。

艦船(以外も)に詳しい友人宅(前述の彼とは別人)を訪れた際にModel Graphixを見せた所、「こんなのがあるのか。一次大戦のならやりたいが」との事でゲームには興味を示さなかったものの、無煙炭による差とか間宮の日産おはぎ生産数とか色々な話を聞いた。艦これをやらなかったら日本の船には興味が湧かなかったと思うので私に取っては幸運な出来事だったのだと思う。

「一番美しい空母は何だと思う?」
「イラストリアスかな」
「ダメダメ、あんな40機も積めないヤツ。一番美しいのはこれだ」


駆逐艦の飯は糞不味いらしい。駆逐艦では艦長も同じ飯を食うのだそうだ。「アメリカは?」と聞くとアメリカも駆逐艦は不味かったそうだ。帆船の時代より小型艦乗りは大変なんですな。

2013年9月28日土曜日

Shadowrun Returns

Gamespot掲載の予告編

Shadowrun(のタイトルロゴ)が帰ってきた!
という訳で昔発売になったShadowrunタイトルとはあまり関係が無く、あくまでもオリジナルのRPGが帰ってきた、という珍しい作品。
Shadowrunの舞台は簡単に述べるとサイバーパンク版ファンタジーRPGだ。FASA版は持っている人に見せて貰った事があるが、特に感銘を受けた記憶は無い。

Kickstarterで始まった時にはSNES版の移植だと思っていたので、実際のゲーム画面を初めて見たのはSteamで発売1週間を切った時だった。Deluxe版には音楽集(MP3)と200ページ程のアンソロジー本が付いてくる。価格は$15で後から買うことも出来るので、ゲーム本体を買って気に入ってから(あるいはShadowrunの世界観に興味があるなら)買うのは良さそうだ。ゲーム本体は$20なので安価で、エディターも付いてくる。エディターが付いているRPGというのは久々に聞いた気がする。Neverwinter Nights以来だろうか。

ゲームは戦闘以外はFallout(1と2)の雰囲気に似ており、戦闘はXCOM(Firaxisの方)にとても似ている。そのためゲームデザインとしてこのゲームならでは、というのは元々のShadowrunに負う所が多いのでは無いだろうか。とりあえず評判を見ている限り、損ねては居ないという事らしい(オリジナルを知らないので私にはその辺がわからない)。ゲームとして特徴的なのはダイアログで、キャラクターの行動を示す表現が非常に多く、元々のRPGっぽい印象をプレイヤーに与える。恐らくこれがShadowrun Returnsの一番の魅力だと感じる。ドイツ系RPGのような地の文章のような難しさは無く、文章は非常に読みやすい。会話分は短い物が多いのだが、印象的なキャラクターも多く登場人物も多いのでバラエティに飛んでいる。

通貨が新円だったりとか所謂サイバーパンク的なノリはもう目新しい物では無いが、唐突に使われる変な日本語(omaeとか)とかエルフが高級なスーツを着ていたりオーガの用心棒とかはShadowrunが走りだけあって単なる耳の尖ったキャラクターだったり、なりのデカイだけで頭の悪い用心棒だったりはしない。Shadowrunを知らなくても楽しめるぐらいの世界観の構築だが、恐らく詳しければもっと楽しめるものだと思われる。私は全く知らないのでその辺の楽しみ方はわからないが、そういう楽しみが出来るぐらいの密度を持つ作品だと思う。

  • タクティカルな戦闘が好き
  • 世界観の密度が高い物が好き
  • ストーリーが良ければ多少一本道でも気にしない
  • Shadowrunの世界観が好き
  • ファンタジー以外のRPGを遊んでみたい
  • 音声が無くても大丈夫
  • 自分のキャラクターが多少おかしな格好をしても気にしない
この中で幾つか当てはまる物がある(自分で譲れないモノ以外)のだったら買っても「損した」とは思わないだろう。まぁ$20だしね。Deluxe版($35)でも十分元は取れると思う。RPGに限らない話だが楽しめるかどうかは自分がどれだけ「勝手に楽しめ」るかという部分が大きいのだと思うし、だから「勝手に楽しめ」るタイプのプレイヤーならこのゲームはかなり楽しめる部類に入る。気力があるならエディターでシナリオを組む事ができるし、Steamで共有もされているので他のプレイヤーが作ったコンテンツも楽しむことができる。

Jordan Weismanが歩いた苦難はKickstarterでロゴの変遷を見るとわかりやすい。ただ、この作品の支持を見ている限り彼はファンに恵まれた(もちろん彼の才能に負う部分が大きいのだろうが)デザイナーではあるのだろう。

ラブプラス+

ウィッシュルーム遊びたさにNintendo DSを買ったものの、どうもその携帯機って貧乏症の私にはハードルが高く…いつも思うのだが、コントローラー部分が壊れたら高額の修理か買い替えなのかね…と思うと本体自体買うのがハードル高い。最近のは更に画面保護シートとかアダプター別売りとか素人が初めて一眼レフカメラを買うぐらいの敷居の高さだ。という訳で最後に買った携帯ハードがNintendo DSな訳だが最初に買ったのもNintendo DS(ゲームウォッチを除けば)だったりする。

前置きが長ぇよ。買った理由としては凄い安くなっていたからという貧乏臭い話だが、実際そうなのでしょうがない。


ゲーム内容としては親の仕事の都合で一人暮らしをする事になった主人公が転校先で3人の女の子と知り合い、その内一人と付き合う事になる友達パートと、付き合った後エンドレス(らしい)で日々が続く恋人パートという構成になる。ゲーム的には恋人パートがメインらしく、リソースの90%ぐらいはそちらに使っていそうだ。ちなみに3人の女の子は性格が3通りあるらしく、台詞も(割合はわからないが)違うらしい。なんというか膨大な台詞の数でデバッグを考えると本気で目眩がしそうだ。昔、なんという作品か忘れたが…RPGだったか、で一人の台本が人の背の高さぐらい、というのがあったそうだ(今はざらなのかも)このゲームだと一人分で台車一台分という感じだ。恋人パートはリアルタイムモードとスキップモードという2種類のモードがある。最初全部がリアルタイムなのかと思ってビビったが、実際にはデートとか約束以外の時間はスケジュール登録(同じ日なら遡って登録可能)が可能なため、ほぼ完全に破綻したスキップモードを遊ぶ必要が全然無い。どう破綻しているのかと言うと、発生するイベントは数分の一。成長するパラメータも数分の一。ここまで破綻しているなら入れなくても良かったのではないだろうか。

ゲームデザインとして見た場合、正直言って特に見るべき部分が無い。ゲームとしてデータを見た場合、丁寧に作られているなと感じると同時にこれはちょっとどうなんだ?という部分も多い。キススキンシップ(名前がわからなくてマニュアルで確認した)は特に意味不明で気分はムツゴロウさんだ。他にもスクリプトは「これデバッグで指摘されなかったのか?」という様な部分が多い。ただ、コンソールのデバッグはオカルトらしいので直せなかったのかもしれない。率直に言って、好みが居なかったらゲームとして遊ぶのは根本的に無理だ。いや、好みがいてもゲームになっているかというと…どちらかというとポストペットとかどこでもいっしょ(どちらも遊んだ事ないのだけど)みたいな感じなのだと思う。水槽を見ているような感じが一番近いのかも知れない。…ああ、カスタムメイト3(18禁ゲーム)がスケールが全然違うが一番近いか?

データは攻略本を見るとROM構造体って感じで半分ヤケクソで作った様なとんでもないデータ量に圧倒される。しかしこれを見ているとDLCか何かでどんどんデータ売ったら結構売れたのでは?とか思わないでも無い。任天堂のハードだとDLCは難しいのだろうか。DLCは批判される事が多いが私は嫌なら買わなければいい話だと思うので(流石にエンディングとかスタッフロールを売られたら怒ると思うが)出される分には別に構わない。ただ、Crusader Kings IIみたいな数が多すぎて把握できないのは困る。多いのは買い手が管理可能なシステムが必要なのでは無いだろうか。Xbox360とか見てると欲しいと思う以上に「面倒だなこれ」と感じるのでインターフェイスはなんとかするべきなのでは。

…脱線したので戻る。
このゲームで素晴らしい部分は音楽だ。音楽は本当に素晴らしい。覚えやすいメロディとテンポの良さで初めて聞く曲は手が止まる。何曲あるのかわからないが、数十曲以上あるのでは無いだろうか。エキサイティングビリヤードの曲(ライブハウスのグレイジャケッツ)、あとネバー・タフ・ガイは多分コントラか?も入っているので、ひょっとしたら他にもコナミの曲があるのかも知れないが、聞いた限りでは私の知っている曲は無かった。ゲーム中のスライドショーモードでかなりの数の曲を聞くことができるが全部では無い。じゃあCDは?というと全曲集は無い…。もう新しいのが3DSで続編?というのが出ているのでNintendo DS版の全曲集が出る事は無いのだろう。残念だ。


ゲームで主人公の情報を入力する時に掛かる曲。
Dites un nom。フランス語らしい。Google翻訳によると、Say a nameだそうだ。

2013年7月21日日曜日

Prince of Persia: The Sands of Time

Prince of Persia: The Sands of Time (予告)

2003年に発売されたPrince of Persiaのリブート作品。Jordan Mechnerが創りだした最初のPrince of Persiaが一番有名だと思う。
Prince of Persia(1989)

Jordan Mechnerが彼の弟の動きを撮影して、表現した独特のアニメーションは当時既に主流から消えていたApple ][のソフトをランキングに入れるという偉業を達成した。が、その後でた続編はあまりパッとしない物が多く、前作のPrince of Persia 3Dから4年経ってからThe Sands of Timeが発売された。ちなみに発売された時には全体的に好意的な批評とは裏腹に販売はパッとしなかったらしく、その年の終わりにはUbisoftの誰か偉い人のインタビューで「内容は優れていたのに売れなかった」と語られていた。私はその時点でPersiaシリーズ続編の印象が強く何とも思っていなかったのだが、Gamespotだと思うが優れたレベルデザインで評価を受けていて、その時初めて興味を持った。

ちなみに売れなかったのは本当らしく、私が買った時点で既に安くなっていた。正直、ディズニーっぽい印象が良くなく最初はあまり乗り気では無かったのだが、序盤が終わった時にはレベルデザインの素晴らしさに感動したのを覚えている。レベルデザインの素晴らしさに関しては今でもトップクラスだと思う。アクションゲームでは結構有名な作品でもレベルによってばらつきがあるのが普通だ。例えば優れたレベルデザインで有名なGod of Warでも、あるシーンでは登れるような壁が別なシーンでは登れなかったり、簡単な柵や透明な壁が結構ある。まぁそういうのは良くある悪い意味で「お約束」な代物な訳だが、The Sands of Timeではほとんどそういうお約束は無い。一見無理なのでは?と思うようなレベルでも遊んでいく内に主人公のアクロバティックな動作と共に攻略出来てしまう。

キャラクターアニメーションはモーションキャプチャーを使っていないという事で当時話題になった。その内の一人はYannick Bergeronという人で自身が作ったらしいDemoが公開されている。モデリングは今見ると流石に古臭いのだが、モーションは今見ても良くできている方なのではないだろうか。3Dのアニメーションで明らかに2つのモーションが繋がっていないとかは今でも見られる物だが、このゲームではどのモーションからでも滑らかに動きが繋がっており躍動感を感じさせる作りになっている。

戦闘はメカニズムを理解するまではやや単調に感じられる。チュートリアル以外では基本的に特定の条件下で時の短剣で刺さなければ敵を殺せないというデザインになっており、これがユーザに受けなかったらしく続編では完全にその要素がカットされた。ただ、慣れてくると次から次と敵を倒せるので優れた部分があるのだが、それに気が付かないと単調でストレスを感じる作りではあるので敬遠されたのかも知れない。ただ、Assassin's Creedシリーズではカウンターという形で残っているように感じられる。

レベルデザインで主人公のアクロバティックな動作でパズル的な事を行うのだが、こちらは素晴らしい出来。一見わけがわからないようなレベルでも徐々にプレイヤーに慣れさせるように作られており、また砂の渦に触れる事で解き方のヒントを見せる事でプレイヤーにゲームを放り出させないようにしている。また、短剣による時間巻き戻し能力のお陰で失敗が連続しやり直しで嫌になるのを防いでいる。時間巻き戻し能力は数に制限があるため、簡単すぎる物にはなっていない。三部作の後のリブート作品はこれに失敗し、無限にプレイヤーを助けてしまう。当たり前だが、そんな事をするとゲームのプレイヤーのやる事は作業になってしまう。

ちょっと脱線するが、優れたゲームデザインの例えにバランス調整を持ち出す人がいるが、バランス調整はあくまでもバランス調整であって、ゲームデザインでは無い。「誰にとっても等しく挑戦的である」みたいのを「優れたゲームデザイン」と評する人がいるが、プレイヤーの賢さや巧妙さに報いる(例え結果的にそうなったとしても)のがゲームデザインなのであって、上手であろうが下手であろうが同じレスポンスしか得られないような代物はバランス調整以前に単に破綻したデザインだと思う。プレイヤーの技術や努力は報われるべきであって、プレイヤーの愚かさは報いを受けるべきだと思う。明らかに失敗させようとしたり(初見殺しと言うらしい)するのは相当下品だと思うし、難易度を選べたりするのはあっていい。「無限にプレイヤーを助ける」なんていうのは破綻以外の何物でもない。

話を元に戻す。

レベルデザインの素晴らしさについて述べたが、ストーリーも素晴らしかった。攻めこんできた国の王子と攻めこまれた国の王女が助け合いながら最初は警戒しつつも(そりゃあ戦争してた当事者同士な訳で)共に危機をくぐり抜けて中で徐々にお互いを理解してゆく…みたいな話だ。私が書くと恐ろしく陳腐だが、「優れたゲームのシナリオ」とはゲームを遊んでいるプレイヤーの体験が全てだ。だから例え文章にすると陳腐な話であろうが、ゲームを遊んで得られる経験がゲームの根幹な訳で「素晴らしい筋立て=優れたゲームシナリオ」ではない。もしそれが本当にイコールなのだとしたら世界の名作でも元にしてゲームを作れば「素晴らしいシナリオだ!」という評価を受けそうな物だ。だが、そうならないのは当たり前だ。途中に挟まるムービー部分が傑作でゲーム部分がどうしようもない代物だったら、それはどうしようも無い代物だろう。格闘ゲームでアクション部分が崩壊しているがキャラクターが素晴らしい出来でも大半のプレイヤーには駄目なゲームしかならないのだと思う。

Assassin's Creedではゲーム開始から最後まで悲惨な筋書きが披露される。あの酷さを見るとどれだけ開発が困難だったかよく分かるという物だ(何回も書きなおした結果がアレなのだ、恐らくは。…まぁ大作では良くある話ですな)が、このゲームでは全ての歯車が精密な時計の様に噛み合っている。クリアした後は中々感慨深い物があった。今まで遊んだ中でエンディングが感慨深いゲームを10本選ぶとしたらこのゲームを入れると思う。GOGに登場したので簡単に手に入るようになった。サントラ欲しさに私は4本目のこのゲームを買った訳だがPrince of Persia全フランチャイズ中の最高傑作がこのゲームだと思う。ちなみにPS3やXbox360(PCもあった)でThe Forgotten Sandsというこのゲームのリメイクがあるのだが、………どうやって………こんな酷い代物に………とホラーゲームの日記みたいになるぐらい「酷い」。機械式時計のリメイクですって裏蓋を外したら\1,000円ぐらいのクォーツが入ってましたぐらいの絶句感だ。まぁそれでも時計は時計だ。でもまぁ良くもこんな酷い設定にわざわざ直したもんだ、と感じるぐらい酷い。いけ好かない王子が成長する話だったのが、とんでもなく影の薄い王子がぼんやりした表情で超絶アクションをこなす話になった。タイアップゲームは今も昔も変わらない。どんな素晴らしい作品もこんなゴミに。という商売の過酷さを垣間見させてくれる。

今となっては見慣れてしまった香港映画的なワイヤーっぽいアクションだがあれを一般的にしたのがこの作品だと思う。RocksteadyがBatmanでアクション格闘シーンのマイルストーンになったように、このゲームはアクションゲームのマイルストーンの一つだと思う。音楽を担当しているのはStuart Chatwoodで、今作以後の作品も担当している。

2013年5月7日火曜日

ダウンロード販売

やっぱりパッケージが良いという人もいるのだろうが、私はもう物理的に無理なのでPCはダウンロード販売を利用している。
最後に買ったパッケージ版PCソフトはDawn of War IIか?と思ったらThe Lord of the Rings: The Battle for Middle-Earth Anthologyみたいだ。版権の関係か、これはダウンロード販売では売っていなかったからだ。仮にあってもEAだから\12,000円とかになるんだろう。

Steam
  • 主な購入方法はクレジットカード
  • ダウンロード速度は早い
  • トラブルは比較的少ない
  • かなりの確率で多言語対応
  • 主なサポートはフォーラム
  • メジャーな作品はEA以外ほぼカバー
Half-Life2を遊ぶために登録して、それ以降あまり触っていなかったが現在では一番利用しているダウンロード販売のクライアントがSteamだと思う。ダウンロードを行なってデコードと環境が整った段階でプレイ可能になるため、トラブルは比較的少ない。
他の言語への変更もプロパティからすぐにできる。

GamersGate
  • 主な購入方法はPaypal
  • ダウンロード速度は普通
  • トラブルはやや多い
  • かなりの確率で多言語対応
  • 主なサポートはフォーラム
  • 東欧系のマイナー作品もカバー
まったく聞いた事が無いような東欧の作品や、非常に小さな作品も扱っている。現在では他所のダウンロード販売でも扱っているがParadox社のゲームはMOD等を考えるとここで買うのがベストだと思う。
昔はダウンロードがとてつもなく遅かった(当時、Mass Effectは70時間掛かった)が現在は北米にもサーバがあるので結構早くなった。
既にサポートが終了したゲームでも並ぶため、古いソフトとかでは動かないというトラブルが時々ある。古いゲームはGOGとかの方が安全だ。

Origin(日本)
  • 主な購入方法はクレジットカード
  • ダウンロード速度は早い
  • トラブルは多い
  • 英語版か、日本語版がある場合強制的に日本語版(吹き替えも優先)
  • 主なサポートはGoogle
  • EAの作品の半分ぐらいと極一部の海外ゲーム
EAの作品がメインだが、EAの作品を全て扱っている訳ではない。
この辺でわけがわからないが、特長は糞クライアント(前は糞以下だった)と存在しないサポート、機能していないフォーラム、日本語版では字幕機能カット等「プレイヤーの忍耐に挑戦」が売り。
正直言って使いたく無いが、ここでしか扱っていないソフトもあるので面倒だ。

Steamの昔

今のSteamは非常に安定しているが、最初にリリースされたSteamは酷い物だった。
一番大きな違いは、今はダウンロード完了→起動設定→起動だが、最初はストリーム配信を使っていた。つまり最低限の環境をインストールしたあと、必要なデータを随時ダウンロードする仕組みになっていた。今で言うYouTubeみたいなものだ。

じゃあなぜ酷かったのかと言うと、当時の回線は今の数千分の1ぐらいの能力しかなく、ほとんどのユーザはADSLの普及前で数キロ単位の回線しか持っていなかった。ゲームが始まる→数分の読み込み(操作不能)→少し進む→数分の読み込み(操作不能)と、こんな感じ。最初はHalf-lifeしか遊べなかったが、Steamの一番の売りはHalf-Life2が遊べる事だったので、本気で「これでHalf-Life2の配信なんてできんのか?」という印象だった。

結局ストリーム配信から現在のようなダウンロード形式に変わった(ごく初期はストリームだったような気がする…があまり良く覚えていない)ものの、元々ストリーム配信用に作ったからなのか、シーン切り替えの読み込みはかなり遅かった。もちろん現在の性能ならそれほどストレスにはならないのだろう。問題にならなかったのはHalf-Life2がそれほど面白くなかったからだ。Half-Lifeは何度も遊んだが、2はそうでは無かった。発売が遅れに遅れたのも、偉大な前作のおかげで期待し過ぎたのもある。技術ムービーが凄すぎたのも理由だと思う。凄さを感じる事が難しい時代なのはHalf-Life2 ep3がいつまで発売にならない原因の一つでもあるのだろう。

それでもSteamが凄いのはゲームの流通を完全に変えてしまった部分にあると思う。大昔はゲームは船便で届いていた(私の利用していた店ははUKから輸入していた)。大体2~3ヶ月ぐらい掛かる。戦争でスエズが使えなくなると喜望峰経由なので更に倍だ。国内で海外のゲームを扱っている店も幾つかあり、そこに注文すれば1~2週間ぐらいで届くものの、必ずしも欲しいソフトが売っている訳でも無いしかなり割高なケースが多かった。私は幸運にもそれほど遠く無い場所に海外ソフトを扱っている店があったため、運が良ければそのまま買って持ち帰る事が出来たものの、雑誌で欲しいソフトがあれば当然船便待ちとなる。それが購入して1時間もすればゲームが遊べてしまう訳で時代の流れを感じてしまう。

あの頃の方が楽しかったか、と言われれば楽しかったとは思う。店から入荷の電話を心待ちにしていたような気分は今味わう事はできない。だが、あの頃に戻りたいか?と言われれば「嫌に決まってるだろ」と思う。遊びたいソフトは1秒でも早く遊びたいに決まってる。私はパッケージにもマニュアルにももうほとんど感情は無い。だからと言って古いソフトをぽいと捨てられる程割り切れないのは事実だが、極力パッケージは買わないようにしている。…邪魔だから。今でもNovaLogicの糞みたいなパッケージを思い出す。ああいう糞みたいなパッケージは心底邪魔だ。後はOceanの糞でかい箱とか…。

昔の私は今より馬鹿だったのでAmiga版とPC版何が違うのか?とかで両方買ったりしていた。一番多いヤツだと…5バージョン?(違った6だ…限りなき馬鹿さだな)…ヤレヤレだ。現在、個人の所有するコンピュータにおけるゲーム市場はほぼPCで、今後もMacとLinuxが占める部分も10%を越える事は無いと思う。GaikaiのようなStream主体の物が主流になるには通信網が今より発達しないと厳しいのでは無いだろうか。そう考えるとSteamのような形態が後5年ぐらいはベストなのでは無いだろうか。だが、いつかはそれもベストでは無くなり、家に居ながら通信端末みたいのだけで画像装置に繋ぐだけ、みたいな時代が来るのだろうか。そうなるとゲームを所有する、みたいな感覚はほとんど無くなってしまうのかも知れない。ただ、そうなったとしてもPCゲーム市場みたいな物は残り続けるのだろう、と思う。ほとんどの大作がStream主体になったとしても全ての作品がStreamに乗る事は無いだろう。その頃には安価なPCでも現在のGamePCクラスの性能を持っているだろうから、性能的な部分は余程の大作でない限りクリアされているに違い無い。

いつかは「昔はゲームをダウンロードしてインストールして遊んでたんだよね」というのが冗談だと思われる時代が来るのだろうか。私は「昔カセットテープでゲームが売ってたんだよね」と言って冗談だと思われた経験があるので、そういう時代も来るのだろうなと思う。その頃になったら、Steamを「ああ、あったねそういうの」みたいに言う日も来るのだろうか。

コミュニティとゲーム

一時期MOD文化とセットで扱われた代物に「コミュニティ」というのがある。簡単に言ってしまうとコミュニティというのは、そのゲームに興味ある人が集まるフォーラム+開発者との接点みたいな感じだろうか。

有名所だと、Paradox社のゲームが熱狂的なコミュニティを築いているし、概ね有名なゲームにはそれぞれ巨大なコミュニティが構築されている。まぁこの頃の記事はどれもこれも凄くて「MOD文化の発祥はHalf-Life」だとか「RTSの元祖はWarcraft」だとか…それはもう酷かった。MOD自体はApple ][の頃からあった話だし、コミュニティも1980年代には既にあった訳でそれを「フォーラムを設置すれば簡単にコミュニティが!」みたいなのは流石に「お前は電通の回し者か」という感じで結局コミュニティは日本では根付かなかった。当たり前の話だよな。

高度なコミュニティを築くのがどれぐらい難しいかと言うと
  • 最高クラスのコミュニティ管理者が必要
  • 相当優れたクラスのコミュニティ担当が複数必要
  • 24時間体制
  • バックボーン
この4つが最低必要となる。一番難しいのがコミュニティ管理者でこういう人を見つけるのが一番大変だろう。コミュニティ管理者に必要な能力というと、
  • ゲームの知識
  • 開発との太いパイプ
  • バランス感覚
  • ユーモア
  • 精神が超人的にタフ
こんな感じだろうか。3つぐらい持っていたらもう神に感謝した方が良いぐらいだ。人によるだろうが、私の場合記憶に残っているのはFuncom(その後、Blizzard EUの'Thundgot'となる)のThomas 'Cz' Johnsenだ。Anarchy Onlineというゲームは発売1年ぐらい酷い有様だった。それでもコミュニティが形をなしていたのはこの人の功績が大きいと思う。海外の場合、長続きするコミュニティには大体そういった感じの名物コミュニティ管理者がおり、そういう管理者に恵まれなかったコミュニティは相当お寒い状態となる。シベリアのようなフォーラムと言えばここだろう。1ページ目で一番下のPostが2009年…ね。

World of Warcrafのコミュニティマネージャー会議
 コミュニティ管理者の苦労がわかるパロディ動画

コミュニティが活性な場合、プレイヤーの定着率は上昇する。また、プレイヤーの数と年齢層には密接な関係があり、年齢層が若くなればなるほどTrollが増える。Trollが増えすぎるとコミュニティは機能しなくなるため、なんとかしなければならない。この辺に答が無いのがコミュニティの維持が如何に大変か、という部分なのだろう。プレイヤーが本気で怒っているのか、単なる嫌がらせなのか明確に判断する基準は無い。この辺への対応がコミュニティ管理者の腕と言える様に思う。

ただ、コミュニティが活性だからと言って全てが良い方向に動くかと言うとそういう訳でも無く、失敗したコミュニティの例として一番わかりやすいのがCivilizationだろう。最新のCivilizationは現在シリーズの5番目の作品で面白いゲームではあるのだろうが、元々の作品に比べると完全に戦争のためのゲームになっている。不思議な話だが、Empireにどんどん近くなっている。なぜか?プレイヤー達がそう望んだからだ。プレイヤー達の不満がCivilizationのデザインをどんどん歪な形に変化させていった。結果としてよくわからない「スペックを持つ」ユニットが増え、汚職は無くなり、政治形態による制限も薄くなっていった。

プレイヤーが望んだ事だ。そして作り手はそれに応えた訳だ。これが正しいという人もいるのだろう。少なくとも十数年前の私はそう思っていた。だが、インターネットの発展と共にどうも違うような感じを受けるようになった。良い影響だけではなく、悪い影響も同じぐらい大きい(今考えれば当たり前の話だが、当時は実際目にするまで気がついていなかった)と思い、2004年に「声のでかさ×質の悪さ=影響力」と書いたが、今もそう思っている。プレイヤーのフィードバックを元にデザインに変更を施すのは正しいのだろう。だが、プレイヤーのフィードバックがデザインに直接影響するのは正しく無いのだと思う。プレイヤーのフィードバックを直接デザインに反映させた物はデザインの面白さを減少させる事が多い。ただ、商業のデザインは商売な訳で「プレイヤー達からこんな声が届いています」というのはデザイン上、避けられない問題なのだろう。

私はデザインの好みとして、荒削りでもデザイナーの「ここが魅力」というのが伝わってくる物が好きだ。コミュニティの善なる効果は素晴らしいと思う。だが、デザインの魅力を削ぐような行為を見ていると必ずしも良い効果が全てだとは思わない。どのようなデザインであれ、デザインは自由であるべきだと思う。「良く出来ていて」「つまらない」作品が私にとっては一番退屈なデザインだ。私は絶えず人のデザインに関して文句を言っている方なのだろう(褒めるよりは文句言っている方が多い)が、その声が届いて改善されてほしいとは全く思わない。

ゲームのデザインには答は無い。私が気に入らないデザインを好きな人もいるだろうし、逆もまた然り、だと思う。答が無いからこそデザイナー各人の色が出るのではないだろうか。例えばデザインを柱に例えるとするならば、シド・マイヤーは斜めに切り、ウィル・ライトは水平に切り、ピーター・モリニューは縦に切る、なんていう違いが出るかも知れない。シド・マイヤーはデザイン上の取捨選択を好むだろうし、ウィル・ライトは普遍的な事柄をデザインに盛り込もうとするだろう。ピーター・モリニューは入れたいものを全部ぶち込むようなデザインをするのでは無いだろうか(そしてバランスが悪くなった柱が倒れたりする。でもそれが彼のデザインの魅力なのだと思う)。それが全て同じ柱になってしまったら映画のアーリントン国立墓地みたいになってしまうだろう(EAって書いてある柱がどんどん増えるような)。

「コミュニティの総意」(ネットで声が上がってる、Blogで…とかまぁなんでもいい。要は沢山の声があるという状態)みたいのが出来上がって「変更すべきだ」みたいな風潮は昔からある訳だが、「完璧なデザイン」という物は存在しない。柱に楔を打ち込んでも切れた柱を接着剤でくっつけても完璧にはならない。もちろんゲームは遊ぶ人間がいて初めて成立する物だから割合こそ異なれプレイヤーはデザイン上の要素の一つなのだと思う。完璧なデザインが存在しないのは完璧なプレイヤーという物が存在しないからだ。アルタミラの壁画とルネッサンス期の絵画を比べてどちらが完璧ですか?みたいな質問は無意味だと思う。それとも中世絵画はもう古いから現代風に直すべきだとでも?

Bioshock Infinite

Angry Joeによるレビュー

前に発表された予告に比べると、ゲーム本編は期待した物では無かった。
2010年に発表されたらしい「ゲームプレイ」動画

ゲームプレイを除けば本編は素晴らしい出来た。驚嘆する美しさと密度を持つ舞台設定、ゲーム本編に影響を及ぼさないメッセージ性(どう感じるかはプレイヤー次第)、前作Bioshockよりも主人公を全面に出した「様に」見えるのはパブリッシャーからの圧力なのかは不明だが、通常版以外では主人公が描かれていないので恐らくそうなのではないだろうか。

で、ゲームプレイはというと、2007年に発売されたBioshockと違う点は無い。プレイしている感じはほぼ同じだ。違いはというと、環境を使う要素が少ない事と機能していなかったBig Daddyが削られた事だ。そう考えるとゲームプレイの要素はBioshockより少なくなっている。なのでメディアで言われる「画期的なゲームデザイン」というのはどこを指しているのかわからない。私が遊んでいるゲームは違うのか?

ゲームを進めてみて、感じた事は多分ゲームとしての面白さを追求しなかったのでは無いだろうか。という事だ。だって2010年の「ゲームプレイ」動画の方が圧倒的に面白そうだからだ。あれに比べるとRAGEを彷彿とさせる敵AIと特に面白くも無いスカイライン…正直に言えばもっと素晴らしい体験を出来る物と信じていたスカイラインだ。ジェットコースターよりも遥かにしょぼく、あれならスキー場のリフトの方がスリルがあると思う。ゲームとして面白くする事はできたのだと思う。ただ、それを選ばなかったのでは無いだろうか。例えばスピードを出し過ぎたらスカイフックが外れるようにすればプレイヤーは慎重にスカイラインを使うだろうし、ゲーム的にはメリハリが出ただろう。実際の所、ゲームプレイとしてコロンビアが空に浮かんでいる理由は特に無い(私がプレイした範囲での話だが)。

プレイヤーのストーリー体験を中心に据えた結果としてゲームプレイが切り捨てられた様に思われる。残念か?と言われたら残念だと答える。とはいえ、ゲームプレイを切り捨てた結果「画期的なゲームデザイン」として評価され、販売も好調ならそれは成功した結果なのだろう。ただ、そこまでしてストーリー体験を表に出すなら別にFPS形式にする必要があったのだろうか?私の場合、ゲームプレイとストーリーの両輪が回る方が好きで、片側が猛烈な速度で回転すると冷めてしまうため尚更そう感じるのかも知れない。どの武器を使おうが、どのギアを使おうがゲームプレイはさほど変わらない。”なんとかには火が効きません”と表示されても「へぇ」としか思わない。「不味いぞ!火が効かないのかよ!」なんて事は無い。

じゃあどうしてこういうデザインにするのか?という事を考えるとプレイヤーに死亡体験をさせたくなかったからなのでは無いだろうか。プレイヤーを死亡させれば嫌でも「ああ、これはゲームなのか」と感じざるを得ない。だからスカイフックが外れる事も無いし、武器やギアの取捨選択を間違えて詰んだりしない。逆に有利になったりもしない。弾が無くなったら他の武器に切り替え、しょっぱいギアを装備してもうんざりする事も無い訳だ。全てはプレイヤーのストーリー体験の為に、と考えれば納得が出来る。

ああ、そう考えると確かに「画期的なゲームデザイン」と言えなくも無いのか。私はHalf-Lifeの夢から醒めていないだけなのだ。多分心のどこかで再びああいう体験をしたいと思っていて勝手に期待しただけなのだ。Bioshock Infiniteは私にとってお買い得なゲーム(Spec Ops: The Lineと$20分のポイントと…何故かXCOM: Enemy Unknownもついてきた…大丈夫かGamersGate)だった訳だが、まだ 15年前のHalf-Lifeの夢を追っているというかなり苦い自分を知って少し憂鬱だ。FEARで海兵隊との戦いの夢は醒めたが、Half-Lifeで経験した、「環境vs自分」の夢は醒めていなかったのだ。

私がBioshock Infiniteに期待していたのは、コロンビアの環境と戦う事だったのだ。だからここまでガッカリしたのか。ようやくわかった。スカイフックを握りしめて助走してジャンプしたかったのだ。スカイフックをスカイラインに引っ掛け損なって真っ青になりたかったのだ。科学の夢である「空中都市」を体験したかったのだ。想像の中で火花を散らし走るスカイフックを歯を食いしばって握り締めた手応えは素晴らしい物だった。白い雲海と青い空と空に浮かぶコロンビアの光景の中、風を切り裂きスカイラインを進むのはまさに想像を絶する体験だった。 発売までの(ありがたい事に流石2Kだけあって、英語版なのに1ヶ月延期してくれた)ワクワク感を味わったのだから私にとっては良い体験だった。あのワクワク感に比べれば本編でのガッカリなど大した事では無いのだろう。それがわかっただけでも良かった。

2013年3月13日水曜日

Pyrotechnica

LGR - Pyrotechnica - DOS PC Game Review

製作はPsygnosisと言っただけで「ああ…」という反応もする人が多いと思うが…まぁそれで当たり。

1995年に発売になったゲームだが、前年にはDescentが発売されておりこの作品のインパクトというのはほとんど無かった。どれぐらいインパクトが無かったかと言うと、私が当時買っていたPC Gamer(UK)の体験版を遊んで店に注文したら「問屋から扱ってませんって回答でしたわ」というぐらいで、その後も幾つかUK関係の店に当ってみたものの、結局買うことが出来なかったソフトだった。

それから数年後、東京に行った時にソフマップに中古が¥2,980円で売っていて購入した。ちなみにパッケージのデザインが結構好きなのだが、今まで同意を得たことが無い。メカデザインがちょっと…というのは確かにその通りだと思う。でもその辺もPsygnosisらしいという気もする。

星の採掘権を巡る戦いで司令官が囚われて救助する…という内容らしい。ゲーム内容について正直良く覚えていないのだが、攻撃オブジェクトのほとんどに光源が設定されており、飛び交う弾で通路が照らされたり、着弾した弾が周辺を明るく照らすなど、デジタル花火みたいな光景が印象的だった。

Pyrotechnicaという作品はゲームとしてほとんど評価を受けなかった訳だが、映像表現と音楽でプレイした人の印象に強く残った作品なのだと思う。全11曲(だったと思う)は全て体験版に入っていたので聞ける曲は製品版では増えなかったが、GUSに対応していたのは製品版だけだったと思うので、その辺の価値はあったのだと思う。多分。
 Pyrotechnica intro

Pyrotechnica BGM01

 Pyrotechnica BGM02

 
 Pyrotechnica BGM03

 まだソフマップのシールが貼られた箱が本棚に刺さっている。手に入れた時は思わず「おおっ」と口に出すぐらい嬉しかった。(そして東京の中古市場の値段の高さに驚いた。定価を超えたものとか、数万のプレミアがついた作品が売られていた)このゲームとDescent、どちらがデザイン的に価値がありますか?という話になったらほぼ100%がDescentを選ぶのだと思う。それでも手に入れた本人にとってしか持ち得ない価値というものがあるのだと思う。その価値を比較しようとするのは野暮というものなのかも知れない。

Blade of Darkness

黒の剣では無く(あちらも私は相当好きですが)スペインで作られたアクションRPGがBlade of Darknessだ。北米ではSeverance: Blade Of Darknessというタイトルで発売された。つい最近、GOGで販売が開始された。マルチランゲージ版なので、こちらはヨーロッパ版になるのだと思う。

Blade The edge of darkness Juego Español Trailer

北米版でもヨーロッパ版でもタイトル以外に内容は変わらない。特筆すべきは卓越した残虐表現と当時としては非常に豊かなライティング表現、そして男性コーラスを使用した楽曲の迫力だ。女性コーラスを使用したゲーム音楽は多いが、ほぼ男性コーラスのみという作品は珍しいと思う。

Rebel Act Studiosは元々ゲーム会社では無かったらしく、CADとかを扱っていた会社らしい。(当時のフォーラムにはスタッフによるそういう書き込みがされていた)で、初めて製作されたゲームがBlade(開発時タイトル)というタイトルで初めてのゲームという事もあって開発は相当難航したらしく、2000年の発売予定だったが実際に発売されたのは2001年だった。契約の関係からか、開発が完成する前に販売されてしまったせいで初期のバージョンは品質が非常に低かった。最終的にはパッチで安定したゲームにはなったものの、序盤を除けばゲームとしてバランスは常に崩壊している状態で、悪いことに終盤に行くに従って更に悪化してゆく。

デザインはナムコのソウルエッジに影響を受け、通常のスイング振り分けの他にコマンド入力による必殺技があるのだが、必殺技のダメージが敵の強さに合わせてどんどんインフレしてゆくのに比べ、通常の攻撃がほとんど追いつかない。必殺技は装備している武器に固有の物で、アンロックはレベルアップにより行われる。つまりレベルアップがおいついていないと大して効果の無い攻撃を延々行なって倒す事となり、必殺技を使えば一、二発でケリがつくというレベルデザインとなっていた(調整する時間が無かったという事らしい)。結局これは修正されなかった。また、防御した際に盾等にダメージを受ける(鎧はダメージを受けても壊れる事は無い)ので、結構簡単に矢や敵の攻撃で壊れてしまう。まぁそれはそれほどの問題では無いのかも知れないが両手用の武器を持っている際、武器がダメージを受ける。実際、ゴーレムのパンチを長剣でガードした際に一撃で剣は真っ二つになって折れて、思わず「うおぉ!」と声が出るぐらい驚いた。予備の剣に切り替えて苦労してなんとかゴーレムは倒したものの、武具の耐久力は10倍ぐらいあっても良かったのでは無いかと思う。

発売後は良くある流れで開発陣と経営陣と意見がぶつかり、最終的にはRebel Act Studiosは解散してしまう。そのゴタゴタの最中にもXbox版の発売が予告され、イマジニアにも日本語PC版の発売が告知された。もちろん両方ともいつの間にか消え去ってしまった。その後、Mercury Steam Entertainment S.L.という会社が作られ、Clive Barker's Jericho、Castlevania: Lords of Shadow等を作ったそうだ。

と、まぁ問題の満載されたゲームな訳だが、松明が作り出すコントラストの強い陰影!コントになっていない残虐表現!力強い男性コーラスの生み出す楽曲の迫力!独創的なモンスターのデザイン!(特にバンパイアとキメラ)と何度もエクスクラメーションマークを付けたくなるぐらいインパクトの強い作品だった。
Severance: Blade of Darkness Main Theme ( full)

ゲームにもうスペックは必要無い?

「ゲームは今の性能で十分です」なんて話は10年以上からある訳だけど、未だにそういう事言う人がいる。
なぜ?と問うと返ってくる答がこれ。

「だって画面が綺麗になるだけじゃないですか」

馬鹿か。とこれだけで終わってしまうのも何なので適当に続ける。
昔のグラフィックの方が味があった、まぁこれに関しては否定しない。私もPC-88のMULEとAtari800のMULEでどっちが味があるか?と聞かれたらAtari800だと思う。(でもPC-88でAtari800の味を出すのは根本的に無理だろ)

「昔のグラフィックの方が想像の余地があった」

そうか?今のゲームでも想像の余地は十分あると思う。この辺は好みがわかれる所だが、腹が立つのはグラフィックに「昔はこの程度で良かった」みたいな事を言われる事だ。別に昔のドットを打ってた人も「8ビットだからこれぐらいでいいだろ」なんて事をやってた訳ではなく、それこそ心血を注ぐ打ち方をしていた。今だって大変な手間を掛けてゲームを作っている方々がいるわけだが、昔は楽に作ってた訳では無い。どうしてそんな失礼な物言いが出来るのか不思議に思う。「想像の余地のあった」グラフィックも別に想像の余地を意図して作ってた訳では無いだろう。

グラフィックがゲームの全てではない。そのゲームに含まれているあらゆるものがゲームの構成要素だろう。昔はマニュアルだって立派なゲームの一部だった。今はそうでは無くなったが、替りに操作系は非常に安定した訳だし当時に比べればインターフェイスも相当洗練されていると思う。まぁ何よりもグラフィックはゲームにおいて重要な要素の一つだが、ゲームのスペックが使われるのはグラフィックだけではないというのに何故か「向上したスペック=グラフィックの向上」という図式が出来上がっている。AIだって相当なスペックを使うのだし、メモリに余裕が出来れば数々のデザイナーが挑戦して敗れ去ったゲームにおける即興性が可能になるのかも知れない。

私の場合、ガキの頃に夢見た未来のゲームは現在既に過去の話になっており、この先どう進化するのだろうか?と思う事がある。スペックが必要無いと考える人達が何を考えているのか理解できない。過去のゲームと同じ物を遊びたいなら過去のゲームを遊べばいいのでは無いのか?グラフィックしか向上していない?一体どこを見ているのか。私が例えばXbox360やPS3の頃からゲームを始めていたとしたらそう感じるのだろうか。私からすると今のゲームは数十年の都市の変化を早回しで見ているような感じだ。車が無人になったり空を飛んだり、建物にチューブが這うのを見られるまで生きているのかはわからないが、デザインはどこまで進化するのだろう?動的な世界は可能になるのだろうか?感情を扱う事は?もっと優れたデバイスが登場する?ディスプレイの進化は?幾らでも進化の道筋はある。有限がデザインの力を引き出すというのは事実だと思う。だが、スペックが十分にあれば同様にデザインの力を引き出す事も可能なのでは無いだろうか。

全てのゲームがスペックを使い果たす必要は無い。1ドット単位の調整が可能だったり、物理エンジンを搭載したテトリスを喜ぶ人間はあまり居ないだろう。シド・マイヤーは子供の頃、地図を見てゲティスバーグの戦場を想像したと語っていた。もしそういう物をゲームで体験できるのだとしたらスペックには意味があるのだと思う。Half Lifeで崩壊が起こる中、研究所を駆け抜けた時。Read Dead Redemptionで指名手配犯を捕らえ、追手と銃撃戦を繰り広げた時。F.E.A.R.でアサルトライフルの銃弾が敵のヘルメットに当たり火花を散らした時。様々な瞬間をそのスペックが実現してくれた。いつかはネクサス6のように「タンホイザーゲートの近くで闇の中に輝くCビーム」を見られるのかも知れない。だから画面が綺麗になるだけでも意味があるのだと思うし、テルモピュライやモンテカッシーノを体験できるのなら「画面が綺麗になるだけ」という事は無いだろう。

2013年2月2日土曜日

ペルソナ4

2/2 訂正
以下、因幡市の記述は私の勘違いで実際には「田稲羽市」。

Gametrailers.comによるレビュー

このゲームがどういうゲームなのか知ったのは、Gamespotの2009年ゲームオブザイヤー関連の記事だったと思う。機種別でPlaystation2の大賞を取った…はず。対象の記事が見つからないため、記憶で書くが「既に物置に仕舞ってるPS2で埃を吹き飛ばして遊ぶ価値がある」みたいな評価だった。ちなみに北米ではShin Megami Tensei: Persona 4というタイトルで発売され、後で調べると珍しい名前等のローカライズを極力行わないという事で話題にもなったらしい(当時、日本のゲームで海外で名前等が変わるのは一般的な話だった)。

その2009年年末の私は年越しするゲームを探してインターネットを見ていた。で、その日の内にペルソナ4を買ってきた。概略はこんな感じ。

「両親の仕事の都合で主人公は1年間叔父の家で生活する事になる。そこで主人公は怪奇的な連続殺人事件に巻き込まれてゆく。」(自分の説明の下手さにちょっと感動した)

主人公は大都市の出身であるが、舞台となる因幡市はやや寂れつつある中規模都市で商店街はシャッター通り化が進み、人口も減少傾向にある。もう一つの世界は現実世界と対になる影の世界で、主人公とその友人たちは事件の謎を追いつつ、日々を過ごす事となる。

序盤の1時間ぐらいはほぼ全て状況の説明に費やされる。正直、初めて遊んだ時はここで嫌になって止める寸前だった。それでもなんとか乗りきれたのは興味深い舞台設定、キャラクターの個性、世界観にあったバランスの取れた音楽にあると思う。ただ、今遊んでも序盤は恐ろしくダルいので2週目以降、カットできても良かったのではと思う。

本編が始まると、突然自由度が上昇し以下の行動が選択可能になる(但し、全てがすぐに可能になる訳ではない)
  • 事件解決(あるいはレベルアップ)のために影の世界のダンジョンに通う
  • 主人公の日常生活を行う(部活、学業、飲食、バイト等)
  • イベントを実施し、コミュニティを強化する
ゲームでは行動毎に日数が消化されるため、選択はプレイヤーを悩ませる。ただ、期間内にダンジョンをクリアする以外にゲームオーバーを迎える事は無いようなので初めぐらいは自由に遊んで問題無いと思う。コミュニティというのは社交的な価値(恋愛、友情、信頼等)が主人公が使役するペルソナ(後述)の強化にも繋がるため、ゲームではコミュニティを築く事が非常に重要となっている。

コミュニティを築く事でキャラクターの掘り下げや、登場するキャラクターの多様化等が行われるため、ゲームと物語のどちらも効率良く回るという優れた特長となっている。また、最初のプレイでは全てを完走する事が困難なため、2週目以降を遊ぶプレイヤーへのモチベーションにもなっていると思う。

日常的な部分、また季節で挿入される学校イベント等も非常に丁寧に作られており、プレイヤーを飽きさせないようかなりの労力が払われている。これをそのまま北米で出したというのはかなりの驚きだ。何せ子供に(日本人が考える所の一般的な)弁当を渡したら親が学校から呼び出しをくらい、「他の子供に悪影響を与えますから止めて頂けませんか」と言われたというような話があるぐらいなので。スヌーピーを読んだ事がある人なら子供たちの紙袋を見た事があるだろう。あれが「一般的な」北米の弁当らしい。「bentouは実在するのか?」というスレッドを見たことがあるが、ああいうのは彼らには相当異質な物らしい。

主人公達は影の世界で戦うために街の中にある鉄の芸術家みたいな親父の作る装備や、ダンジョンで手に入れた装備で戦う。一応学生服の下に着ています。という設定になっているがこの辺は「キャッチ22なのでよろしく」という扱いになっている。主人公以外のキャラクターには各人に対応するペルソナ(特殊攻撃装備のようなもの)があり、各属性の利点と弱点がある。弱点は攻撃されると1ターンダウン状態となるため、他のRPGより属性への注意が必要であり、一般的な雑魚戦闘を興味深いものにしている。また、敵全員をダウン状態にすると一斉攻撃が可能で一部の敵を除き特大ダメージを与える事が可能というギミックがある。戦闘は非常にテンポ良く進み、完成度がとても高い。戦闘に関してはとても良くデザインが練られている。

ストーリーはジュブナイル的な物であり、特筆すべき点はそれほど無いが主要キャラクターについてはどの人物も丁寧に描かれている。また、主人公がRPGでは珍しい「冷静で天然」という変わった人物(開発者曰く、戦隊物のブルーを意識した)でRPGで良く見られる「熱血で馬鹿」と真逆の人物として描かれている。そのため、プレイヤーが置いて行かれる事が非常に少ないのが特筆すべき点だ。(いきなり叫んで誰かに斬りかかったりはしない。素晴らしい)ハンサム且つミステリアス(見た目は)で叔父曰く、「天然のジゴロ」だが確かにこれならモテるわな。という主人公だ。

ちなみにゲームの全体イメージカラーが黄色なのだが、これ北米で出すのは物凄い度胸のある話でそのまま出したのは驚きだ。北米では男子は「オカマになるな」という事を叩きこまれる。日本では協調性を叩きこむように、アメリカでは男子にマッチョたれ、と叩き込む(普通の生活から)。アメリカのティーンエージャーが良く「Fag(got)」という罵倒語を使用するのはそういう背景があるらしい。ネットゲームで彼らがああいう振る舞いをするのはマッチョたれ、という躾の成果なのかも知れない。まぁあくまでも聞いた話なので「君はマッチョになれと親に習ったのか?」とは聞けない。日本人だって、今の協調性をどこで習ったの?と聞かれても答えられないのと一緒だ。そういう社会だから。という事なのだろう。

…何の話だ。話を戻して音楽の話を。音楽は非常にテンポの早い曲が多くポップなゲーム内容に相応しい物が揃っている。珍しいのは歌入り(英語)の曲が多い事。里見の謎のように最後の方で歌が入るというのはあるのかも知れないが(いや、実際見た事は無いんだけど)、普通のシーンで歌入りの曲が多いというのは、レースゲームとペルソナ4ぐらいしか思い付かない。

Persona 4 - Your Affection

私としては普通RPGの戦闘で激しい曲が鳴るのは好きでは無い(飽きるので)が、ペルソナ4のボス戦の曲が好きだ。一般的には通常戦闘曲の方が人気あるらしい。なんだかんだで4周か5周か6周ぐらい遊んだのだが(なぜわからないかと言うと、一回データを消してまた始めたから)面白い作品だった。PS Vitaで増補版が出ているそうだが、増補版目当てに買いたいという程ではない…私には携帯機は敷居が高い。でも本体を買ったら必ず買うと思う。何やらアニメーションが追加されているらしいのだが、私はゲーム内のキャラクターを使ったカットシーンの方が好きだなぁ。

年に1回ぐらい発作的にRPGを遊びたくなる時がある。まぁ大体そういう時に買ったゲームは悲惨な結果を生む事が多かったが、このゲームは違った。今は輝日東にいるので、因幡市に行くのはまた今度…でも年内には多分行くような気がする。

[Persona 4] Hiimdaisy Comic Dub (Full Version)
注意:ネタバレアリ
Hiimdaisyという人の書いたWebパロディ漫画にファンが音声等を付けた物らしい。堂島の扱いが酷い。

2013年1月31日木曜日

エロゲー文化研究概論

というタイトルの本が発売された。発行は総合科学出版、堅そうな感じの名前だな、とか思って本を開いて「大好評発売中」という名目で4冊程紹介されている書籍を見て固まった。ちなみに製本はよく出来ており、紙の質も高い。大昔のパソコン関係の書籍で使われている紙は雑誌よりちょっとマシぐらいの代物だったので高級感がある。

5年単位で区切る形で2012年までのエロゲーとその周辺の時代について解説が行われている力作だ。255ページ全て使っても全ての作品について書ける訳ではないため、読んだ人にすると「あれが載ってない」とか「これが載ってない」みたいな事もあるのだろう。(私の場合「ようこそシネマハウスへ」がほとんど触れられていない、あとは「レッスルエンジェルス3」とか)調べ物をした人なら大体経験していると思うが、ちょっと前まで簡単に調べられた事がいつの間にか、どこにも情報が無い。みたいな事は現在増えている(多分、これからも増え続けてゆくのだろう)なので今、この段階で調査した結果を紙媒体で出版する事には意義があると思う。2000年代から一気に遊んだ事のある作品が無くなったのを見て自分が「ああ、ここで脱落したんだな」とわかる所が興味深かった。この頃からシナリオが加速的に肥大して全然ついていけなくなった。率直に言うと読むのが苦痛になった。とは言え、考える事は多くなった。「自分はAdvに何を求めているのだろう?」「どこに苦痛を感じているのか?」とか色々考えたと思う。だからそこから学んだ事も多かった様に感じている。

…脱線したので戻る。同級生の画面写真がWindows版だとか(何か理由があるのかもしれんけど)気になる所もあるが、画像関係の許諾って恐ろしく面倒で(昔は問い合わせても返事一つ来ない事が多かったとか聞く)その中でこれだけ揃えたのはかなりの苦労があったのかも知れない。Emmyが工画堂スタジオ製作というのは知らなかった。実際遊んだ事は無いのだが、私が読んだ限りの記事で全てEmmyと会話の問題を指摘していたのを思い出す。何にしてもこの本は力作だ。これだけ調べて文章起こすのは相当大変だったと思う。現在進行形の方もいるだろうし、私のように脱落した奴もいるのだろうが、それでも読めば思い出す事も多いと思う。

2013年1月28日月曜日

Ultima V

Ultima V(1988)

ゲームを遊ぶ者なら誰しも「朝から晩まで1日中そのゲームの事を考えている」という経験があると思う。
私はそういう経験をしたゲームは多分20本ぐらいしか無いと思うのだが、一番長期に渡ってその経験をしたのはUltima Vだ。

Ultima Vの概略はこんな感じだ。

「大陸で巨大な地下世界が見つかり、王自ら組織した探索隊が行方不明となった。王の替りに摂政が国政を司るが、彼は暗黒の力に支配され圧政を始めた。王を探し、国を圧政から救うべく主人公が召喚を受ける」

UltimaはApple ][から始まり、VIからIBMーPCがオリジナルとなる。発売当時でも既にApple ][は全盛期をとっくに過ぎてたが、「あの」Ultimaの最新作なため、凄い話題の作品だった。Apple ][を持っていなければ当然遊べない訳でログインの安田均の記事とか読んで「うわー!遊んでみてー!」とか思っていた訳だ。

で、当時私が所有していたX68000で移植版が出た。前作Ultima IVの移植は壮絶な代物だったが(IIよりはマシだが)Vはもう会心の出来と言っても差し支えない物だった。翻訳は金井哲夫が手がけていたらしく、質も非常に高かった(後年、オリジナル版を遊んで全編古語英語で驚いた)のもあり、スリリングな序盤から徐々に旅の仲間が集結してゆく展開は素晴らしいものだったと思う。

Ultimaシリーズではそれまでゲーム内で永久死が描かれる事が無かったと思うが、Vでは初めて摂政に捕まると仲間の命か、秘密の呪文を教えるか選べという選択肢があり、仲間の死を選んだ場合そのキャラクターは永久に(Vの中では)消えてしまう。一度だけ失敗して捕まった時にこれを経験した時には相当なショックだった。最もその事実は既に記事を読んで知っていたのだが、仲間が自分のミスで消えてしまうのはかなりの痛みだった。正直、この時に失ったのが仮にVから登場したキャラクターならそれほどショックでは無かったと思う。その後はもう偏執狂的に準備を行うようになり、二度とそのような事態を招くことは無かったもののどんな時でも頭からその恐怖が消える事は無かった。

Ultima VI(IIIを除く)まで、Ultimaは現代人である主人公がファンタジー世界からの召喚に応じ目的を達成した後、元の世界に帰るという筋書きになっている。つまりUltimaを開始するのは旅の始まりであり、旅の続き(Journey Onward)となっている。「Journey Onwardって言うのが良いよな」とは友人の弁だが、確かにブリタニアの旅はどんなに居心地が良かろうが旅である(そこで死ななければ)訳でいつか終わりが待っている訳だ。プレイしている最中は全くそれに気が付かなかった。漫画家の大島やすいちが娘からなぜラスボスの城にいかないのかを聞かれ「この城に乗りこんだら…冒険が終わっちゃうじゃないか…」と言ったそうだが笑えると同時に共感する人も多いのでは無いだろうか。Ultima Vの終わりは非常に物悲しい終わり方をする。今でも時々思い出して「ああ、物悲しい終わりだったな」と思う。エンディングを見た時には既に夜中になっており、真っ暗な部屋でブリタニアに想いを馳せていたのを思い出す(まぁそのうち寝て起きたら朝だった)。

その後、Ultima Vを立ちあげてもプレイする気には中々なれず、その後IBM-PC版を入手したものの結局ほとんどプレイする事無く現在に至る。Ultimaシリーズの最高傑作がどれなのか意見が分かれる所だろう。私はIVを遊んだ事が前提になっているとは言え、Vが最高傑作だと思う。それでもVのブリタニアに戻る事は出来なかった。当時は何故なのかわからなかったが、今はわかる。旅は終わったのだ。

2013年1月25日金曜日

Dishonored

Dishonored - Trailer [HD]
非常に難解な作品。

皇后暗殺の汚名を着せられたエージェントが謎の人物の助けを借りて汚名を晴らそう、という作品…なんだろうか。正直、あまり覚えていない。

投獄されて死を待つばかりとなっていた主人公は謎の人物の手引きで脱出に成功する。戦闘は主にステルスが中心で一般的なステルスキルから魔法のような能力まで様々な手段が使えるのが売り。技術的には恐ろしく高い水準の作品で、ローディングも恐ろしく早い。精密なグラフィックの割りには重さもほとんど感じられない。

チュートリアルが終わった辺りでかなり違和感があったのだが、正規のミッションが始まって違和感の原因がわかった。これは死が軽すぎるんじゃないのか?まるで果物にナイフを突き立てるように次々と殺してゆく。もちろん私が操作して殺してる訳だけど、なんというか…「ちわー仕事人でーす(by中野豪)」という感じでゲームプレイは盛り上がらない。どう感じているのかというと、チュートリアルが終わった段階で目的上殺しもするが避けた方が良いというメッセージが作品から伝わってくる。だが、プレイしていて殺害する事に一切罪悪感を感じない。別に殺している兵士だって悪人という訳では無いのだから(だってほんの少し前まで同じ勢力だった訳だし)殺すのは葛藤とかありそうなものなんじゃないのか?でも最初から躊躇無く殺せてしまう。街は死に溢れ、ネズミが走り回り、橋には死体が積み上げられている。でも別にどうとも思わない。例えば殺しまくって心が麻痺してくるとかなら話がわかるが、最初から何も感じないというのは凄い違和感を感じる。

相手を気絶させたり、非殺害の手段があれば違ったと思うのだが、最初から殺す気まんまんな主人公が不思議だ。つまり汚名を晴らしたいというモチベーションを全く感じない。Dishonoredというタイトルは誰を指しているのか?私は主人公がそう感じている作品なのかと思っていた。実際に遊ぶとどうやらそういう訳では無いらしい。一人称視点だからプレイヤーが感じる事が一番大切なのだろう。それはわかるが、少しはサポートしてもいいのでは無いだろうか。エモーショナルなシーンというのは個人的にはあまり好きでは無いが、これはあまりにドライすぎるように感じる。

Borderlands 2

Angry JoeによるBorderlands 2レビュー

う、ううぅ~ん?前作は1周するまでは楽しんだのだが、今回は…よくわからん。いや、面白さは1とほとんど変わりません。じゃあ何が違うの?と言われるとBadass Rank(アカウント全体に影響するBuff)とスキル全体の見直し…ぐらい?

「これはBorderlands 1.5だ」というユーザレビューがあったが、私からすると1.2aぐらいの変化しか感じない。1に比べると連射系の武器が弱すぎて全然使い物にならない気がする…装備レベルが上がったらまた違うのかも知れないが、前半はPistolが一番良い感じがする。前作より敵が硬い気がするなぁ。よりCoop向けの調整になったんだろうか。前作に比べると平均的な交戦距離が半分以下になり、銃撃戦自体は簡単になった。これはコンソールでの反応が大きいのだと思う。グラフィック等は前作よりブラッシュアップされているな、と感じるもののそれ以上の印象は無い。

キャラクターの持つ特殊攻撃は大幅に強化され、そのキャラクターを使う意義が大きく増えたと思う。前作ではスキルの関係で持つ武器もかなり制限されていたが、2ではかなり柔軟なシステムに変化した。ただ、敵が硬すぎて威力の低い武器は実質機能していないと思う。前作であった、数値的には弱いが状況で有効な武器になったりという経験が無かった。単に弱い武器と強い武器があるだけに感じられる。

インベントリシステムは…これは一体何をしたいのか?というぐらい意味不明な代物。決して前作でも使いやすい物では無かったが、直感的にもアウトで慣れても使いにくいという豪快さで、20年ぐらい前のRPGみたいなデザインだ。(装備する→ステータスを確認する→装備を外す→ステータスを確認する…)装備はレベルによる制限が大きいため、他のキャラクターに渡すという行為が機能する可能性はかなり低い。レベルがカンストすれば別だが、そうではない場合意図的に育てない限り機能していないと思う。

私が前作で楽しんだ要素として、銃撃戦とアイテムハンティングがあった。少なくとも今回はどちらも楽しいとは感じない。特殊攻撃が強すぎて通常攻撃が非常に弱く感じられる。なんというかこちらが有利な状況を生み出す方法が特殊攻撃しか無い。スコープを使って有利な状況を生み出すにも敵が硬すぎて機能していない。結局撃たれつつ撃ちあう乱戦がメインだ。別に乱戦があるのは問題無いのだが、ずぅーっと乱戦ばっかりだと飽きる。

良くできているゲームなのだとは思う。私にはそこから先の面白さが発見出来なかった。荒削りな分、前作の方が面白かったように感じられる。

2013年1月12日土曜日

古いゲームを遊ぶ「必要」があるのか?

私の場合、デザインの研究が趣味なので私に関して言えば「必要」だ。
だが、例えばゲーマーだとして他の人から「○○は遊んでおいた方がいい」とか言う話はよく出ると思うのだが、私は今現在どう思うかと言えば「4年以上前の作品は遊ばなくてもいい」と思う。

もちろん自分で興味があったら、どんな昔の作品でも遊んだ方がいい。自分の興味を満たす、欲求を満たす。これは非常に正しい話だと思う。グナイゼナウ曰く「Raum mögen wir wiedergewinnen, verlorene Zeit nie wieder」(場所は取り戻せるかも知れないが、失われた時間はそうではない)だそうなので、今遊びたいなら、あるいは今遊ぶ事ができるなら今遊んだ方がいい。それは新しいも古いも関係無い話だろう。

その時代のデザイン、その時代の技術を知る事は重要だ。だからできれば出た時期の内にその作品を楽しむ方が良いと私は思う。とり・みきだったと思うが、「遅れて来たファンはどうしても作品を批評的に見てしまう」(記憶ではこんな文章だった。確かビートルズかビーチボーイズの話だったかと)という言葉がある。その作品の持つ熱のような物はどうしても失われてしまう。これはどうしようも無い話だ。私はDeus Ex(2000)をプレイしたのは2004年頃(間違い。2003年3月)だったと思うが時間さえあれば夢中になって遊んでいた。仮に2012年に初めて遊んだらあそこまで面白く感じただろうか?それは無理だと思う。

Deus Ex - Trailer(2000)

例えばテーブルゲーム(将棋、チェスとか)ならその面白さをもっと継続する事が可能かも知れないが、デザイン的な部分で進化は無い(AIとかは進化できるだろう)「歩」がレベルアップして強くなるような将棋を出してもそれがデザイン的に進化か、というと4本足の動物を6本足にしたら1.5倍の速度が得られるかも。という代物だと思う。将棋を指したい人はそんな事を目的に改変された将棋をやらないだろう。サッカーでボールを2個に増やしたら!みたいのも普通興味を持たない(見てみたい気はする)だろう。

今のゲームも数年もすれば過去のゲームになってしまう。だから興味があるのだったら様々なジャンルに手を出すべきだし、そこから学ぶことも多いと思う。自分の遊ぶジャンルは○○です。みたいな事は後で幾らでもできるのだから新鮮な物を新鮮な内に遊ぶ方が良いのでは無いだろうか。アンテナは高く、敷居は低く…誰の言葉か忘れたが昔そんな話を聞いた記憶がある。私の場合、アンテナを高くする努力は続けているが、敷居に関しては自信が無い。それでも興味があったら出来る限り手の届く範囲なら手を広げる努力はしている。

人類で全てのゲームを見た人間は居ないし、これからも居ないだろう。 だから昔のデザインに興味が出たら地獄のハイウェイにようこそ。という事だ。
LGR : Sid Meier's Civilization - DOS PC Game Review
有名な地獄の入口の一つ。「本物の」シド・マイヤーによるデザインのCivilization。そしてシリーズにして最高傑作だ。知らない人には当時どれだけの人間がそのデザインに驚いたか想像も付かないと思う。今遊んで当時と同じ感激を味わうのは不可能だ。今の新作もごく一部はクラシックになるだろう。だが、クラシックになる瞬間を味わえるのは発売されてほんの数年の間に過ぎない。だからそれを味わないというのは勿体無いのではないか、と思う。

今の作品を遊ばずに今の作品を評価する事は出来ないし、逆もそうだと思う。「昔の作品の方が優れている」そうだろうか。私は新しい作品にも見るべき部分は十分あると思う。同様に古い作品も「古いだけ」とは思わない。デザインが今でも光り輝く作品もある。古いゲームを遊ぶ「必要」は無い。それが貴方のゲーム人生を豊かにするかは誰にも保証出来ない。だから自分で確かめるしかない。

2013年1月11日金曜日

Far Cry 3

Angry JoeによるFar Cry 3レビュー
予想外に面白い。

ゲームの概略は南国(太平洋戦争当時の日本軍の大砲等がある太平洋の島)でバカンス中に一緒に捕らえられた弟、友人達を現地の人間の力を借りて助ける。という内容。

最初は頼りない文明人の主人公が、戦いを経て徐々に狩人として目覚めてゆく、のが成長要素となっている。レベルアップ時に一般的なスキルツリーを構築してゆくが、上のスキルをアンロックするためには
  • 要件を達成する(ステルスキルを3回、とか)
  • ストーリーを進める(進める事で新たな才能を得る)
という感じ。敵は火力はともかく、数、増援等があるため正面から突破するのは若干難しい。それぞれのHPがボックスにわかれておりHaloで使用されたシステムに似ている。そのため、ステルスで有利な状況を生み出す事を求められる(ミッションによっては警報が鳴らされたら失敗する物もある)事前に双眼鏡で敵を確認する事で敵の動きを完全にトレースできる。一度双眼鏡で視認した敵は壁の向こうでもわかる。シルエットとはいえ、完全に描画されるため、LoSについても判別可能だと思う。

現実の世界では存在していても、ゲームで表現する事が難しい才能として、追跡技能があると思う。今までも足あとを表現したり、レーダーで表現したりといった試みが行われてきたがこれだけストレートな表現は初めてだと思う。このシステムはゲーム上で上手く表現されていると思う。

視認した敵は頭の上にアイコンが表示され、ただのアサルトライフルを持ったヤツなのか、手榴弾を投げてくるヤツなのか、スナイパーライフルを持ったヤツか識別可能だ。最初のFar CryではこれをAIで実装しようとして、結論から言えば上手くいかなかった。つまり近代戦の鉄則である「最初に殺すのは指揮官と通信士」をやろうとした訳だ。AIの負荷が高すぎたのか、上手に実装できなかったのかはわからないがFar Cryを遊んでそれを感じる事は無かった。Far Cry 3でそれを上手に表現できた、とは言わないがイニシアチブを取った際に「どの敵から始末するか?」をプレイヤーに考えさせるなら現時点では十分に目的を達成していると思う。大きな一歩だ。

ストーリー上でプレイヤーは狩人として覚醒してゆく、という部分があるが、これは武器以外の装備を充実させるためのクラフト要素として取り入れられている。例えば持てる弾数を増やすにはバッファローの皮2枚といった感じで徐々に難しいターゲットを狩らなければならない。という感じだ。銃があれば野生動物より圧倒的な強みではあるが、獰猛な生き物相手だと一瞬で殺されるため、結構な緊張感がある。

インターフェイスはかなり使いにくく、意図がわからない。おそらくコンソール版をそのまま使っているのだろうが、こんな酷い代物で問題にならなかったのだろうか。インベントリも凄くわかりにくい。Red Dead Redemptionでも似たようなインベントリだったが、Far Cry 3では洗練されているとは言いがたい代物だ。

E3の紹介を見た時には正直言って面白そうには見えなかった。射撃感も不足している(これは実際に不足している)し、舞台も魅力的に見えなかった。オープンワールドのFPSと聞くと反射的にBoiling Pointを思い出したのも敬遠した理由の一つだ。
Boiling Point:Road to Hell(2005)
それでもSteamの安売りと好奇心(私はAngry Joe Showのファンなので)に負けて買ってしまった。最初は前述のインターフェイスで眉間にシワが寄りっぱなしであまり乗れなかったのだが、クラフトで動物狩りをしている辺りから面白くなってきた。

ただ、どうなんだろう。今まで1も2もパッとした作品じゃなかった訳で(1は技術的には凄かったが)それの3って言われてもピンと来ないような気がする。リブート的に「Far Cryなんとかかんとか」みたいなタイトルにした方が良かったのでは。発売時から評判の良いタイトルではあったものの、Far Cry 2が「行ったり来たりゲーム」だったので不安だった。3はその点が大きく改善されており、何よりも敵の拠点を偵察し、攻撃プランを組み立て実施(そして失敗)するのが楽しい。

ゲームにおける世界観とは何なのか。という話があるのだが、ゲームにおける世界観というのは物の設定がどう、とかストーリー、前提となる神話とかでは無い。画面に見えている物以外をプレイヤーに感じさせる事が世界観なのだと思う。我々が直接見ているのは通常モニターだけな訳だが、その見えていない部分を感じる、あるいは考える事ができる事が出来たのであればゲームの世界観として素晴らしい物なのだと思う。

私はゲームを立ちあげてしばらく「この作品は面白く無いのでは無いか」と思っていたが、私の直感は当たっていなかった。それが嬉しかった。

Max Payne 3

Angry Joeによるレビュー
Max Payneの1はプレイしたが2はプレイしていない。銃でコンボを入れるというアイデアが理解できなかったからだ。主人公の造形が変になったのも理由の一つではある。
で、Rockstarに移ってリブートした第3弾ができた。

アメリカの連続テレビドラマと、勘違いしたハードボイルドと、説教の融合。
酒の有害さを説く、というのがテーマの作品で仕事中に酒を飲む奴は変な幻覚を見る。糞の役にも立たず、終始ブツブツ言っている(例えば昨日の味噌汁の具がイマイチだった…今日はアサリがいいかも知れない」みたいな)「スタイリッシュ(当社比)に相手を殺す」のが大好き、等といった酔っぱらいが如何に迷惑か、をバーチャル体験出来る。あとはコップ酒でも机に置いておけば洗面所で吐いてすっきりできるだろう。

Red Dead Redemptionでは見事にIPを復活させたが、Max Payneではうまく行かなかったようだ。
バカバカしさとスタイリッシュ(当社比)ではStrangleholdの方が上だと思う。興味あったら体験版を遊ぶのをオススメする。面白かったら?体験版だけで面白さの90%ぐらいは体験できるので買う必要は基本的には無い。
Stranglehold - Official Trailer

Max Payne 3の問題点で一番大きな事は銃撃戦において、リアルなのを目指しているのか、誇張した表現を目指しているのかはっきりしない点だ。TPSなので自分の銃撃に迫力を感じる事は無いし、敵が撃ち殺される時にちゃんと着弾位置を計算して倒れてゆくのは手間と予算を感じさせるものの、目出し帽を被った奴を30人も殺してたらリアルか誇張、どっちかに寄せないと何のインパクトも無い代物になってしまう。Hotline Miamiの方がリアルでインパクトがある。
Hotline Miami Trailer

TPSで銃撃戦の迫力が出しにくい、というのはわかるがもっと物理エンジンを利用して大げさに倒れたりしてくれないとありがたみが無い。何故か?自分は横っ飛びしてスローで銃のスライド動かしてるのに何のサービスも無かったらドッジ2回目ぐらいから、受けなかった一発芸を何度もやらされてるような気分になるからだ。そりゃあ場が盛り上がっていれば一発芸を繰り返す気分になるかも知れないが、会場の盛り上がりが無かったら拷問じゃないか。ジョン・ウーに映画から鳩、教会、二丁拳銃とスローモーションをカットした作品を依頼するんだったら、そもそもジョン・ウーじゃなくて他の監督に依頼した方が良い。シュートドッジを抜いた方が良かったんじゃないのか?「それじゃあMax Payneじゃない」いやじゃあなにか?「シュートドッジが入った」からMax Payneなの?

ストーリーに関しても興味の沸かない酔っぱらいに昨晩の夢を聞かされてるような話で「携帯でも鳴らねぇかな…」という気分になる。「この本は面白いんだ…今から全ページ俺が音読してやる」って言われて嬉しい人は居ないだろ。Max Payne 1なら画面1枚で済むような話を5分掛けて説明するのは明らかな失敗だ。

Max Payneである理由は何なのか?これならタイトルを「ハゲの酔っぱらいinブラジル」とか「銃と独り言の多い男」とか「ゲロ」でいいんじゃないのか?新しいIPになるし。ゲームに乗れる切っ掛けを何一つ与えてくれない内容が心底不思議だ。それとも中盤から未来に行ったり、隕石が降ってきて街が壊滅状態になったりするのだろうか。このままずっと単調な銃撃戦とカットシーンが続くのだったら辛すぎるだろう。別にエンジン売りをする訳じゃないのだろうし、本当にわからない。…まさか赤字を出して税金対策とかか?赤字になったのかは知らないが。

幸せ過ぎて、たまには「今日はむしゃくしゃしたい!」というのならばこのゲームはオススメだ。そういう点では完成度が非常に高い作品だ。

2013年1月6日日曜日

ビル・ウィリアムスとその脳みそ

私の場合、凄いデザイナーというのは思いつくだけでも何人もいる。トップを選べ、と言われたら一瞬考えたから「若い頃のシド・マイヤー」だと答えると思う。

では、一番変なデザイナーは?と聞かれたら、これは考えるまでもない。ビル・ウィリアムスだ。

彼の名前を一躍有名にしたのはMind Walker(1986)というソフトでゲーム概略が凄い。

「狂った教授の脳にアクセスし、正気の破片を探し出す」

今なら0.1秒で却下されそうな企画だが、問題は無い。何故か?何故なら彼が一人で作ってるからだ。

Mind Walker(1986)
動画をアップロードした人は相当な労力を払って説明しようと試みているが、大半の人には「なんだこりゃ?」でしか無い。どの本か忘れたが、クーロン黒沢曰く、「冥王星で一人で作ってるようなゲーム」これが一番わかりやすい説明だと思う…多分。源氏物語が今でも研究されているように、Mind Walkerも800年ぐらい研究対象になりそうだ。

その後、Cinemaware社のゲームで音楽関係でDefender of the Crown(1986)、The King of Chicago(1987)を担当した。
Sinbad and the Throne of the Falcon(1987)
今見ると凄い変わったグラフィックに感じるかもしれないが、当時だって相当アバンギャルドなグラフィックだった…ゲーム内容は彼にしては結構まとも(で特に面白くもない)だったのだが、あまりに強烈なグラフィックで一度見たら忘れられない作品ではある。(後は妙な山登りシーン)

そしてKnights of the Crystallion(1990)が発表された。(残念ながら現在のYouTubeには1秒ぐらいの映像しか存在しない)
Array Cat(1983)
序盤に彼が手がけた作品が映される。動画の作品も彼が手がけた作品だ。

Knights of the Crystallionの背景世界はこんな感じだ。
「古代の巨大生物オラドリッド(プレシオサウルスに似ている)が息絶え、その骨に人々が住み始めた。オラドリッドの頭部はツィミットと呼ばれ、その中にはクリスタルの卵があるという。そのクリスタルから生まれた馬は人智を超えた美しさと賢さを持ち、手に入れた物を支配者とするだろう」
クリスタルの卵から馬?とか意味不明な部分もあるが、おそらくビル・ウィリアムスには何か理由があるのだろう。ひょっとしたら単に自分で作ったレイトレースエンジンのテストだったのかも知れないが…。

ゲーム内容は一族の維持、二人で行う陣取りゲーム(ダイヤモンドゲームのような?)、2つのミニゲーム(途中でカードの位置が動く神経衰弱と磁石?のような物を使ってエナジーを蓄積する謎のゲーム)とこの作品のメインパートであるツィミットの探索だ。

ツィミットは迷路になっている。多分、ファミリーコンピュータ版夢幻戦士ヴァリスより難解なのでは無いだろうか。何せ2画面も移動すると地図が続いていない。説明が難しいが相互に一方通行のような地図になっており、おそろしくややこしい。なんとか迷路を進むと、挑戦者の知恵を試すため、前述のゲームで勝負したり、ポエムの答を求められたりする。

当時見せた人はほとんどがこう言った。「なんですか?これ」
私にもわからない。ひょっとしたらビル・ウィリアムスは普通のゲームを作ろうとしていたのかも知れない。我々にはそう見えないだけで。

Future Wars

Future Wars: Adventures in Time(1989)
ゲームの映像は日々進化している。そんな映像の中でも特に印象に残っているタイトルというのは存在する物で、私にとってその内の一本がFuture Warsだ。
グラフィックを担当したのはAnother World(日本ではアウターワールド)で知られているEric Chahi。
Another World(1991)
Another Worldで驚いたのは「普通に遊べる!フランスのゲームなのに!」という事だった。私の当時のフランスから発売されるゲームの印象はグラフィックが素晴らしく美しい事、糞難しい事、マニュアルに何も書いていない事。だった。

つまりFuture WarsはAnother Worldは前作であるため、その全てを兼ね備えている訳だ。例えば森でコインが地面に落ちるのを発見して拾おうとする。グラフィックが美しく写実的…なのは良いのだがまずどこにあるのかわからない。200カウントのマウス(インターネットの情報によると、マウスは200カウントだが、ソフトウェア上は100カウント…らしい…そら無理だわ)だと、カーソルを対象に合わせてクリック…の時点でずれる可能性が高く、わかっていても中々上手くいかない。で、やっと選べたら次にプルダウンメニューを表示して拾おうとすると…またずれる。当時、結局コインを手に入れるのに20分ぐらい掛かった。

20分というのは当時のゲームに必要な時間からするとそれほど長い訳ではないが、簡単なただ地面に落ちているコインを拾うだけで20分はきつかった。まだコインを拾うのは時間制限が無いから良いが、序盤の終わりから時間制限のある行動が増えていくためどんどん辛くなってゆく。ちなみに行動に失敗すると即ゲームオーバーが多くてYouTubeの動画の方はあっさりとクリアしているが、1ドットずれたら死亡とか、知らないと絶対間に合わない部分がある。

ゲームにおいてグラフィックは重要ではない。という方々がいるが、私はゲームにおいてグラフィックは重要だと思う。現在では購入前に動いている画面を見ることが出来るが、当時は雑誌の小さな画面写真ぐらいしか見ることは出来なかった訳で、尚更重要だったと思う。最もそれから読者は妄想する訳で実際買ってみたらそうでも無かった…まぁそういうのは今でもあるか。

日本ではPC98に移植された。他にもあるのかも知れないが、(調べたらX68000版も出てたそうだ)解像度の関係からか、IBM-PC版を元に移植が行われた。パッケージは靴とペンキ版(ヨーロッパ版=オリジナル版)と、昇天版(アメリカ版)があるが、日本では昇天版が使われていたと思う。これに限らないが、アメリカ版のパッケージって案が10個あったらその中から一番酷いのを選んでるんじゃ…というのが多い気がする。

原題は”Les Voyageurs du Temps: La Menace”Google翻訳によると、タイムトラベラー:メナス…は?いや、原語だとまた違うのかも知れないが…メ、メナスですか…こればっかりは英語版の方が趣があっていいね。

2013年1月3日木曜日

Wings

(2013/11/11) Kickstarterに再度登場した。
Wings: Remastered Edition (Kickstarter)達成額は大幅に下がったのでなんとかなりそうだ。$250,000でドイツキャンペーンか…オリジナル版も遊べるらしい。元はAmiga版なのでエミュレータなのだろうか?

Cinemaware社から1990年に発売された作品。
第一次大戦を1916年~1918年の終戦までイギリス陸軍第56飛行隊として任務を行うゲーム。特徴的なのはプレイヤーのキャラクターが戦死しようが強制除隊されようが、新たなキャラクターを登録して戦争を続ける点。
このゲームにはキャラクターの成長要素があるため死なない方が良いのだが、1対12みたいな空戦もあるので死なずに進めるのはかなり難しい。

最悪、死にそうになったら不時着して逃げる事も可能。但し3回ぐらい不時着して機体を失うと強制除隊(歩兵への転属)が待っている。三人称視点での空戦がメインだが、縦スクロールの爆撃、斜めスクロールの機銃掃射等のシーンもある。どちらかというと、シミュレータというよりはアクションゲーム寄りな内容だ。自機は最初から最後までソッピースキャメルだし、ドイツ帝国はタウベ、アルバトロスD.III、フォッカーDr.Iへと変化するが考証よりもイメージを優先した結果だと思われる。

空戦が長引きすぎると日が暮れてしまう。完全に日が暮れてしまうと自動的に墜落扱いで死亡するため、生き残るためには不時着を行う必要がある。前述の通り機体を失い過ぎると除隊させられてしまうため、空戦が激しさを増す後半は戦死と除隊の可能性が増えてゆく。

特徴的なのは空戦中のメッセージがサイレント映画風になっていて装飾の施された黒い画面に状況の説明が行われる。例えば奇襲を仕掛けたはずが実際には敵の主力部隊の真っ只中だったり、機銃の装弾不良(時間で修理可能)等だったりする。尚、装弾不良の発生はスキルが上がる事で修理に要する時間が減少する。

音楽はゲーム内容と時代にあった物が揃っており、完成度が高い。
Cinemaware社の作品は発売された当初からグラフィックの美しさで知られていたが、ゲーム内容はあまり評判が良くなかった。ただ、Wings前後のゲーム内容も優れた物が多かったと思う。

続編が何故かSNESで発売され、日本でも売っていた。購入したものの、特筆すべき点は特に無い。オリジナル版の要素は空戦と成長要素のみが入っており、ミッションの多彩さも時代の雰囲気も無い。航空隊の日誌で語れれる牧歌的なエピソードや日々、戦死や配属で変化してゆく飛行士のリストも無い。

Kickstarterでディレクターズカット版の話があったものの、残念ながら目標額を達成できなかった。北米ではマイナーな機種でしか発売されていないのが原因なのか、空戦物に興味が持たれなかったのか、第一次大戦物だったのかはわからない。

第一次大戦については下記のサイトで物凄い詳しく解説されている。

第1次大戦(現在、403のため、リンクはInternet Archive)

2013年1月2日水曜日

2012年ベスト&ワースト

ベスト&ワーストは私が単にその年遊んだゲームから選ぶ代物で発売年等は一切考慮しない。

2012年ベストゲーム
Diablo III
恐らく2012年のほとんどのGame of the yearでノミネート行くか行かないかぐらいの評価しか受けないであろうDiablo III。実際悪く言われている部分はほとんど真実だと思う。それでもこのゲームをベストゲームに選ぶのは敵の大群を殺害しながら突破してゆく快感が他のゲームでは得られないからだ。悪い部分に解して、今後のパッチや拡張パック等で改善が進む事を望む。

2012年ベストアクションゲーム
Batman Arkham Asylum
前のPCでは重かったため、新しいPCになってから本格的に遊んでみた。アクション、グラフィック、ボイスワーク、そのどれもが素晴らしいアクションゲームの傑作。特に敵の攻撃を受け流し、テンポ良く様々な技を駆使して敵をノックアウトするバットマンの格好良さに痺れた。ヒーローアクション物をデザイン際のマイルストーンになったことは間違い無いだろう。

2012年ベストストラテジーゲーム
Europa Universalis III Divine Wind
毎年、Hearts of Iron II関連か、EU関連を選んでいるが今年はこれを。小国の生き残り、隆盛を極めた大国がボロボロになってゆく時、遊牧民の絶え間ない侵略等、様々な歴史的イベントを上手にゲームデザインに取り入れていると思う。また、緩衝国がどれぐらい重要かを学ぶ教材としても非常に優れていると思う。2013年Q3にはIVが出る事になっている。楽しみだ。

2012年ベストアドベンチャーゲーム
アマガミ
2009年にも選んでいるが、遊ぶ機会があり今年も遊んだ。このゲームには酷い選択肢がまぁ…そこそこある。2009年当時はある程度マップを埋めようとしてたのと、選択結果の影響を知らなかった事もあって出来たのだろうが、今やると全く選べない自分に苦笑いしながら遊んでいる。

2012年ベストロールプレイングゲーム
Fallout New Vegas
Fallout3の評判に比べると賛否両論…まぁ…その…否の方が多いのだが特に批判を浴びたのがストーリー。FalloutとしてはむしろNew Vegasの方がスタンダードなのだが、Fallout3の親父探しの方が受けてしまった。バグが多かろうが、善人にも悪人にもなる必要のないモハビ砂漠は私にとって居心地の良いWastelandだった。

2012年ベストドライビングゲーム
Dirt2
2010年にも選んでいる。圧倒的なリプレイ映像の上手さ、曲選択センス、集中力の無い私でも楽しめるレースの短さ、ドライバー視点の臨場感と面白さ等、恐ろしく完成度の高い一品。私は普通のゲームだと車がどれだけボロボロになろうがほとんど気にしないが、このゲームではかなり慎重に走っていると思う。リプレイが楽しみだからだ。

2012年ベストサウンドトラック
The Secret World
ゲームの内容に合った素晴らしい曲の数々。特にメインテーマ曲The Secret Worldが良い。ゲーム内の曲もゲームを良くサポートしており完成度の高いサウンドトラックだ。

2012年ワーストゲーム
RAGE
発売された時から悪評塗れだったが、レビューとか見ていて世界観とかが気にはなっていた。ゲームを遊んでからレビューを見ると「上手に映像選んでるなー」という気分になる。レストランでカレーを頼んだら冷めたレトルトだったという感じの絶句感を味わった。ここまで酷いという予想はしていなかった。

2012年ワーストドライビングゲーム
Need for Speed The Run
車のアンロックにはオンラインプレイが必須という糞デザインを極めた糞さ。しかもプレイヤーがいなくて大半のオンラインプレイが機能していないという八方塞がりさ。プレイヤーだけがレースをしていてCPUの車は車体の下に棒が付いているというヤラセ感。Frostbite2だからレンズの汚れまで一緒という既視感。オンラインのプレイヤーの大半がアンロックが目的なのかアクセルを踏みっぱなしでハンドルすら切らないという終末感。

2012年ワーストサウンドトラック 
Diablo III
一部の曲を除き、ほとんどが環境音で盛り上げようという意思が希薄だった。最後の方で申し訳なさそうに少しだけ盛り上げようとするのが更にイライラさせてくれる。「ぷわぁぁぁぁ~」博覧会。

2012年最もガッカリしたゲーム
Planetside2
私が期待し過ぎただけで、時代の流れを考えればこうなるのは仕方が無いのだろうが、戦争している感じは全く無くなったのが残念だった。流行りの「銃を持って走り回りながら好き勝手に殺しあうゲーム」だ。私は戦争している感じを味わいたかった。

2012年EA賞
EA
長年、良いゲームを発売してもそれを自社の力で破壊し続ける努力を怠らないEAの勤勉さを称えるために賞を新設した。また、IPを欲しいのはひょっとして破壊するために欲しいんじゃないのか?と言わんばかりのこわれたオンラインプレイや「我々に出来る事は何もありません」というサポート。嫌がらせのようなOriginクライアント。日本のOriginで買えないのに何故か日本のAmazonで買えるゲーム達。次はどの会社が犠牲になるのか知らないが、誰もEAを止められないだろう。

2012年最も恥知らずな続編賞
Mass Effect 3
Mass Effect 3は三部作となっており、2と3は話が繋がって…いない。2と3の間には大量のゲームとゲーム以外のコンテンツが挟まっている(Choke Pointの記事)。EAが悪いのか?Biowareが悪いのか?それはわからない。主人公が同じで話が続いていないというのはアリなのだろうか。そりゃあサイドストーリーがあっても構わない。でもメインストーリーが別の複数の媒体で?それともなにか?ゲームというレベルの低い媒体では全てを語れないとでも?いい加減にしてくれ。

2012年
こう見ると選んだゲームで2012年発売の物はDiablo IIIとThe Secret Wolrdだけだ。遊んだ時間の長さだと、Diablo III、EU3、アマガミ、 Fallout New Vegas、Batman Arkham Asylumという順番になると思う。作品をコントロールするのは難しい。特に予算が増えれば増えるほど難しくなるのだと思う。そんな中で良い作品が生まれたり洒落にならない作品が発売になったりするのは当然なのだろう。だからって腹が立たない訳ではない。じゃあインディーズなら?という意見もあるのだろうが、大作は大作だし、インディーズはインディーズだと思っている。大作はインディーズの替りにならないし、逆もそうだろう。どちらかが正しいなんていう事は無い。
2013年の期待作というと、BioShock Infinite、Dead Island: Riptide、EU4…これぐらいしか思い付かない。本音を言えば予想もつかない新作が現れて喜ばせて欲しい。ワクワクしたりガッカリしたりしたい。…いや、ガッカリは間に合ってるな…。