2013年1月6日日曜日

ビル・ウィリアムスとその脳みそ

私の場合、凄いデザイナーというのは思いつくだけでも何人もいる。トップを選べ、と言われたら一瞬考えたから「若い頃のシド・マイヤー」だと答えると思う。

では、一番変なデザイナーは?と聞かれたら、これは考えるまでもない。ビル・ウィリアムスだ。

彼の名前を一躍有名にしたのはMind Walker(1986)というソフトでゲーム概略が凄い。

「狂った教授の脳にアクセスし、正気の破片を探し出す」

今なら0.1秒で却下されそうな企画だが、問題は無い。何故か?何故なら彼が一人で作ってるからだ。

Mind Walker(1986)
動画をアップロードした人は相当な労力を払って説明しようと試みているが、大半の人には「なんだこりゃ?」でしか無い。どの本か忘れたが、クーロン黒沢曰く、「冥王星で一人で作ってるようなゲーム」これが一番わかりやすい説明だと思う…多分。源氏物語が今でも研究されているように、Mind Walkerも800年ぐらい研究対象になりそうだ。

その後、Cinemaware社のゲームで音楽関係でDefender of the Crown(1986)、The King of Chicago(1987)を担当した。
Sinbad and the Throne of the Falcon(1987)
今見ると凄い変わったグラフィックに感じるかもしれないが、当時だって相当アバンギャルドなグラフィックだった…ゲーム内容は彼にしては結構まとも(で特に面白くもない)だったのだが、あまりに強烈なグラフィックで一度見たら忘れられない作品ではある。(後は妙な山登りシーン)

そしてKnights of the Crystallion(1990)が発表された。(残念ながら現在のYouTubeには1秒ぐらいの映像しか存在しない)
Array Cat(1983)
序盤に彼が手がけた作品が映される。動画の作品も彼が手がけた作品だ。

Knights of the Crystallionの背景世界はこんな感じだ。
「古代の巨大生物オラドリッド(プレシオサウルスに似ている)が息絶え、その骨に人々が住み始めた。オラドリッドの頭部はツィミットと呼ばれ、その中にはクリスタルの卵があるという。そのクリスタルから生まれた馬は人智を超えた美しさと賢さを持ち、手に入れた物を支配者とするだろう」
クリスタルの卵から馬?とか意味不明な部分もあるが、おそらくビル・ウィリアムスには何か理由があるのだろう。ひょっとしたら単に自分で作ったレイトレースエンジンのテストだったのかも知れないが…。

ゲーム内容は一族の維持、二人で行う陣取りゲーム(ダイヤモンドゲームのような?)、2つのミニゲーム(途中でカードの位置が動く神経衰弱と磁石?のような物を使ってエナジーを蓄積する謎のゲーム)とこの作品のメインパートであるツィミットの探索だ。

ツィミットは迷路になっている。多分、ファミリーコンピュータ版夢幻戦士ヴァリスより難解なのでは無いだろうか。何せ2画面も移動すると地図が続いていない。説明が難しいが相互に一方通行のような地図になっており、おそろしくややこしい。なんとか迷路を進むと、挑戦者の知恵を試すため、前述のゲームで勝負したり、ポエムの答を求められたりする。

当時見せた人はほとんどがこう言った。「なんですか?これ」
私にもわからない。ひょっとしたらビル・ウィリアムスは普通のゲームを作ろうとしていたのかも知れない。我々にはそう見えないだけで。

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