2012年12月29日土曜日

近年の邪魔にならないゲーム音楽

昔々、Chip音楽からPCM音源に移行するにつれ「ゲーム音楽の良さが失われている」という意見を良く聞いた。
私はChip音楽も好きだが、別にChip音源がPCM音源に勝っているとは思わない。Chip音源にはChip音源の良さがあるのだし、PCM音源でも良い曲は当時だって沢山あった。

今でもそれぞれの音源に良さがあると思う。
以下、別に代表的な曲ではなく私の好みで適当に選ぶ。

Atari800のM.u.l.e.(1983)

ファミリーコンピュータのアルマナの奇跡(1987)

PinballのBlack Knight2000(1989)

ArcadeのX-Men(1992)

PlaystationのRapid Racer(1997)

他にも山ほどあるがここ数年なんというか…環境音みたいな曲が多くなっていると思う。「ぷわぁぁぁぁ~」みたいな出だしで始まると高確率でそんな感じの曲で「またかよ…」という気分になる。

ゲームの曲はゲームを盛り上げるためにあるんじゃないのか?と思うのだが、近年の作曲者が質が落ちた。なんて言う話ではなく発注が「鳴っていても気にならない曲にしてください」という事らしい。理由があまりに酷くて正直心底腹が立つのだが、「オンラインで遊んでいる時に特に邪魔にならないように」という事なのだそうだ。

唖然とする理由だが、まぁそれだけオンラインの市場というのは大きいのだろう。Twitchとか見ていても90%ぐらいのプレイヤーはゲームの音を切って別な音楽を流したりしている。そういうプレイヤー達にはゲームの音楽というのは自分のオンラインプレイの邪魔でしか無いのだろう。

でもどうせ切られるのなら別にゲームを盛り上げてくれる曲にしたっていいのじゃないか?Alexander Brandonみたいに行き着いた先が環境音ならまぁ…仕方がないという気もするが「オンラインプレイヤーの邪魔にならないように」なんていうつまらねぇ理由で 「ぷわぁぁぁぁ~」を聞かされるのか?冗談じゃないぞ。
Diablo III - Act I - Fields of Misery

Wolf

1994年に発売になった狼サバイバルシミュレータ。Manley&Associatesという会社が制作した。同社は1996年にEAに買収されEA Seattleと名前が変わった。
「EAに買収され」の時点でネタバレだと思うが2002年に閉鎖されている。
Lionという続編が作られたそうだが、そちらは見たことは無い。

ゲームは任務達成モードとシミュレーションモードに分かれ、サバイバルを行う事となる。一匹狼でも群れのリーダーにもなれるため狼マニアの人には堪らない物があるらしい。私は動物に対する愛情がほとんど無いためその辺は理解できなかった。

狼の能力である嗅覚や聴覚を使い、水源を探したり、狩りの獲物を探したりしてステータスの維持を行うのがメイン。ハンターに見つかると高確率で射殺されて死ぬ。シミュレータであるため、負傷すると行動力が低下しさらに致命的な状況に陥る。死亡時は動画で実際の狼の死を見せられるため、後味はかなり悪い。

動物が主役のゲームで見られる擬人化的要素は名前を付けられるぐらいしか無く、面白いかは別にして本格的なシミュレータに仕上がっていると思う。CD版とFD版があり(私が持っているのはCD版)CD版は狼のマルチメディア辞典がついていた。

マルチメディア時代だから発売されたゲームなのかも知れないが、面白い着眼点だと思うし記憶に残るゲームだった。

アマガミ

2/2  ちょっとおまけ劇場リップシンクについて訂正
私はAdvでは必ずメッセージ速度を最速にするため気が付かなかったが、文字表示が「普通」の場合、リップシンクが行われる。


知ってる人には説明不要だろうし、知らない人には私が上手に説明できるとも思えないので、以下の記事が紹介記事としては秀逸だと思う。

“アマガミスト”が猛烈に語る『アマガミ(エビコレ+)』プレイインプレッション

所謂ギャルゲーなのだが、このゲームが他のギャルゲーと大きく違うのはフラグがヘクス地図(63x63)になっていてフラグの有効期間、排他性等が視認できるシステムになっているという事だ。
初めて見た時「うわぁ…作るの面倒だったろうな、これ」って感じだったが、恐らくデバッグは地獄だったと思われる。

タイムスライスのシステムとしてはelfの同級生(elfの、と付けてしまうのに時代の流れを感じる)が続編も含めて非常に優れていて、作るのがあまりに面倒なのかしょぼい模倣作以外存在しないという希少な存在となっており、「絶滅したのでは」とか思っていた所に突然出現したのがアマガミだった。

通常のフラグ管理+ルートシステムの場合、歴史の年表のように一方向に進むのが普通である。つまり「○○というイベントは6月27日に発生する」と言った感じに作られる。タイムスライスの場合は例えば「ローマ帝国はAD200年頃に滅ぶかも知れないし、あるいはAD2200年頃に滅ぶかも知れない」と言った感じにフラグの受容期間に幅が設けられる。例えば同級生2だと1時間ぐらいの受容期間しか無いフラグから、2週間にも及ぶ受容期間が設けられているフラグもある。実際には何箇所かに収束ポイントを設けてある程度の整理を行うため、混沌とした状態には通常ならない。ただ、作るのは恐ろしく面倒なのが特徴だ。(デバッグは更に地獄)

所でタイムスライスのシステムを実装する際に一番大変なのはフラグを組み立てる事では無い。Advゲームを作る際、特にシナリオで一番やっかいなのは情報の管理である。更にライターが複数になると増えるとやっかいでキャラクター設定から読み取りすぎる人、あるいは全く読み取れない人が出てきてしまう。この辺を機械的、アプリケーション的に処理できるような仕組みは多分存在しないので概ね誰かが統括して辻褄をあわせなければならない。考えただけでも胃が痛くなりそうだ。

最も、じゃあ一人で書いたらいいのか?というと物理的に困難なケース(ライターを擦り切れさせてしまったりとか)もあるがゲームとしては複数で書いた方がアクセントとなって良いケースが多いように思われる。出来れば2人より3人であるとか。2人だとくっきり分かれ過ぎる様に思う。シリアスが得意な人もいるし、軽いのが得意な人もいるだろう。

…脱線したので話を戻す。これだけややこしいシステムなので開発は当然のように難航した。この辺は公式攻略本とアマガミ応援本を読むとよく分かる。

どれぐらい難航だったのかと言うと「もう少し遅れたら七咲はカットだった」という状態だったのだそうだ。もちろん当初の予定を全て実装できたという訳ではなく、カットした要素も沢山あるらしく(この辺も前述の本で触れられている)データ的には残っている物もあるらしい。商業のゲームは無限に開発時間を取れる訳ではない(発表から15年間続いたDNFが異常な例)。特にコンソールの場合発売した段階が完成版な訳で、その辺を実装した物を見てみたかった気もするが現時点ではとても完成度が高いゲームだと思う。

エビコレ+版の方がバグの修正が行われており、若干の追加要素がある。パッケージはオリジナル版の方が良かった気がするが、新しいパッケージの謎は追加要素でわかる。PSP版も出ているのだそうだが、違いは解像度だそうで、PS2版より若干縦が短いらしい。PS2を持っているのであれば、PS2版の方が良さそうだ。

音楽は季節が冬な事もあって静かな曲が多い。曲数はかなり多いが、ゲームに良く合った曲だと思う。ゲームには残念ながら音楽モードが無い。コンフィグでFM音源版にも切り替える事が可能。また、声を8ビット時代Advで使われたセリフ効果音版を実装している。
PC8801SRのバーニングポイント
台詞部分の「ぽぽぽぽぺぽぱぽ」みたいな効果音を指す。

PCでアマガミちょっとおまけ劇場というファンディスクが出ている。
元々、Tech Gianという雑誌の付録だったらしく、EX1からEX6まである。また、GSというエビコレ+版の追加エピソードの後日談が存在する。

EX1からEX6まで全部買うとかなり高価だが、EX5とEX6の残りエピソードのアンロックには全エピソードが必要というのがちと高い。元は\1,500円なのでこれでも安くはなっている。でも全部入りで少し安く出して貰った方が買いやすいような気がする。各キャラ1枚の描きおろしイベント画像がある。また、若干の立ち絵の追加がある。ストーリーはどちらかというとシリアス寄りな物が多く、(本編以上に)考証は抜けが多い。とはいえ、世界観の範囲には収まっているため、問題という程でも無い。ゲームエンジンは吉里吉里が使われており、システムはあまり使いやすくは無い。ただ、全部通しても数時間程度で終わるので問題無いと思う。本編は全てリップシンクしていたが、EXは会話開始の一瞬しか口が動かない。(PC9821版ポリスノーツのリップシンクバグを思い出す)最初違和感を感じるが、すぐに慣れると思う。

背景はごくわずかな例外を除き、本編を流用しているが、解像度が高いため、背景を見るのが好きな人には楽しめると思う(1月に入っているのにクリスマスセール12/1~12/31という表記が見えたりして)。また、解像度が高いため、立ち絵も精細で、本編だと解りづらい立ち絵のディテール(特に森島の旋盤で金属加工した時に出る削りかすのような美しい髪…こう書くと褒めてるように見えないかも知れないが褒めています)がよく見えるので「すげぇな…これ」と感心できる。

GSはDMM.comで販売している
エビコレ+版の麻雀エピソードから続く話(起動時に警告が出る)なのでその後に遊んでいないと駄目だ。話はEXに比べるとかなり長い。麻雀のおまけエピソードの続きなので主役はあの人。私はAdvにおける視点切替は最小限にして欲しい方なので正直面白くは無かった。好みがわかれる作品だと思う。

2012年12月21日金曜日

The Bard's Tale(1985)

Bird's Tale IV(doope!の記事)が出るのだそうで。(2015/1/25追記)
スカラブレが出るなら、ロー・アダムス三世も製作に参加するといいな…。

リメイクのアクションアドベンチャーではなく、オリジナルのRPGの方。
動画はAmiga版の物
inXileから「Wastelands2の予約者にThe Bard's Taleをプレゼント」というメールが来た。
元々のThe Bard's Taleは1985年にApple ][で発売になったゲームで、inXileからのプレゼントはXbox版(2004年)をPCに移植した物だが、起動してみてオリジナルのThe Bard's Tale3部作がおまけとしてついているのがわかった(後でSteamのストアページを見たら書いてあった)。
GOGでは売っていないのでPC版で三部作を手に入れられるのはSteamだけか?
The Bard's Tale(2004)

The Bard's Tale(1985)

画面は見ての通り日本ではおなじみのWizardlyスタイル。最初のThe Bard's TaleはPC9801とファミリーコンピュータに移植版が出たが全く話題にならなかった。オリジナル版ではWizardly3部作とUltima3からキャラクターをコンバートできるのが話題のひとつだった(レベル7から始まるそうだ)。日本版はもちろんカットされた。
日本でBard's Taleの2作目が出たという記憶は無いのだが、なぜかローカスという会社から1&2の攻略本が出た。(調べたらどうやらファミリーコンピュータで2が出ていたらしい)

Wizardlyとの違いは
  • 複数のダンジョンと屋外の構成
  • 1グループの最大モンスター数が99(つまり最大99*4=396)
町の名前はスカラブレ(Skara Brae)で開発にロー・アダムス三世がいたのがわかるようになっている。昔インタビューで「開発に関わったゲームの町にはスカラブレと付けるようにしてるんだ」と語っていたが、東京ダンジョンではスカラブレは登場しなかった…と思う。

The Bard's Taleの戦闘は敵の人数が多い事もあって魔法が圧倒的に優位である。グール60匹、ワイト20匹みたいなのをされてもな…。60匹いたら魔法の攻撃判定も60回なので戦闘のテンポは正直言ってよろしくない。戦闘もハードで難しさはRealms of Arkaniaと甲乙付けがたい印象だ…いや武器が壊れる分Realms of Arkaniaの方が難しいか。

歯ごたえのある3Dダンジョン物が遊びたいという人には楽しめる作品なのだろう。私には正直言って歯ごたえがありすぎる。パワープレイが好きな人にはMight & Magicシリーズの方が向いているのかな。私は最初のWizardlyぐらいで十分だ。

そういえば発売になった時、バーバリアン396人が話題になっていたが、攻略本によると別ルートから進入して回避可能らしい。

2012年12月6日木曜日

RAGE

Gametrailers.comによるレビュー
Steamの安売りで$5で購入した。
内容は
  • 安っぽいテクスチャ
  • 安っぽい射撃感
  • 安っぽい音楽
  • 安っぽい世界観
  • 安っぽいゲームプレイ
という感じで評判の悪さが納得できる出来だ。
昔、マッドマックス2が大ヒットしたときに大量に偽者が出たが、その内の一本を思い出した。
The New Barbarian(1983)
作り手が何を作りたかったのかさっぱりわからず、とても2011年発売のゲームとは思えない。
メガテクスチャという技術が売りらしいのだが、ゲームが始まってガレージで壁にボケボケの模様が映って、それが沢山のナンバープレートだとわかった時に驚いた。
ノーマルマッピングすらしていない書き割りみたいな代物で、何が書かれているのかよくわからない。2007年なら凄い作品だったのかも知れないが、今見ると低予算ゲームのような印象を受ける。

開発に時間が掛かり過ぎて陳腐化するのはよくある話だが、販売権を売ったEAの判断が正しかったのかも知れない。とはいえ、EAから発売されていたらパッチすら出なかった可能性が高いのでidにとってはBethesdaから発売された方が良かったのだろう。idにとってはBethesdaと提携する事で技術部門のような存在になるのだろうか。RAGEを見ているとその方がidにとっては幸せという気がする。

遠景は綺麗なのかも知れないが、ミッションは基本的に室内が多く(前半の話。後半は知らない)薄暗い室内の中で2種類の敵と戦う。ジャンプしながら突っ込んでくる奴と、適当に隠れながらその場所で撃ってくる奴。パーツでバリエーションをつける事も無く、同じ敵がずーっと出てくるのはストロングスタイルにも程があると思う。ひょっとしたら何か違うのかも知れないが、同じ声で同じ動きで何か違っても違いを感じる事はないだろう。

Borderlands - fun = RAGEというユーザ投稿を見たが、確かにそれも頷ける内容だ。$5なら?という気もするが、それならレンタル屋でマッドマックス2を借りた方が良さそうだ。
Mad Max 2(1981)