2022年12月8日木曜日

鬼谷八荒 Tale of Immortal

中国の鬼谷工作室(パブリッシャーはLightning Games。鬼谷工作室がLightning Gamesの一開発部門なのか、独立した会社なのか不明)が開発した、不老不死を得る為に山海経的な地図の中で修行するRPGである。



「弾幕シューティングが好きだから、弾幕を使って何かゲームを作れないだろうか」という発想からRPGのプロトタイプが作られた。元から仙人修行を目的としたようなゲームは存在していたらしいが、今のジャンル的ブームを作るきっかけは多分このゲームからだと思う。


元々の中文版の他に完全とは言えないが英語版が開発されているので遊びやすい方で遊べる。まぁ元々ローカライズは考えていなかったらしく、英語版のUIはかなり滅茶苦茶だ。とはいえ物凄い頻繁に更新されているので、導入当初に比べると完成度はかなり上がった。


だた、アーリーアクセスなのでFixされる量と新たな不具合はそれほど変わらないかも知れない。


RPGではあるが、敵を倒しても経験値は入らず、気の集まっている場所で修行する、他のキャラクターと共に修行する、その他イベント等で得られる。レベルには段階があり、1段階目、2段階目には対応する丹薬が必要(結構高価)で、3段階目には各種元素、各種レアアイテムが必要になる。尚、レベルアップは3~5段階のグレードがあり、低いグレードだと集めるアイテムが少なくて済むが、確率は下がる。失敗すると消費したアイテムは全て失われ、1年間の再挑戦ペナルティが課せられる。(昔はそうだった。今は違うのかも。)


多彩な技など一見自由度はかなり高そうに見えるのだが、プレイするとわかるが使用に耐える技と無理な技には埋められない溝があり、また結局の所、派閥に属さないと上を目指す事が出来ない。なので「一匹狼」みたいな特性を選んだとしても意味は無い。なので自由度が高そうに見えるゲームだが、最適解がわりと決まっているゲームで、尚且つ最適解が割り出されるとNerfされる…という循環が今年発生した炎上の理由でもあるらしい。


プレイヤーには各種技として通常攻撃、移動技、必殺技、各種パッシブがあり、技は基本的に様々な方法で入手できる書物から金を払って修行値を稼いで一定数に達すると会得できる。通常攻撃が弱いと先に進めないので、自分のパラメータが重要になる。


書くの忘れてた。プレイヤーは作成時に膨大なパラメータがランダムで設定される。それに出自等のBuff(あるいはDeBuff)を受けた値がスタート時のパラメータとなる。これが絶望的だとプレイもかなり絶望的だ。最低限攻撃に必要なパラメータはある程度突出していないと、書物から習得もできず、弱い攻撃力では怪物に攻撃が全く通らない(最低値は1。つまり最低値が出ている様だと、まぁあれだ、少し進むと雑魚も倒せない。)。色々成長要素があるにはあるのだが、望んだとおりに育てるのは相当な困難を伴う(気がする)。最初の数回は慣れも兼ねて適当に始めても問題無いと思うが、上を目指すなら最初のパラメータはかなり重要だ。


敵を倒しても経験値が入らない、というのは結構な辛さで、「雑魚が強くなって攻撃が通らない(ボスとか論外)」状態で、それを解決するには通常攻撃を強くする以外無い。強い通常攻撃技には本人のレベルが必要である。

つまり普通のRPGでやる「勝てないのでレベルを上げて再挑戦」という事が根本的に出来ない。遊んだ事ない人は「装備替えたらいいんじゃないの?」と思われるかも知れないが、このゲームでは各種の技が装備替わりなので…まぁ慣れてきたら初めからやり直す、というのを繰返すゲームなんだと思う。


有難い事に現在はMODが使用可能なので、下手なプレイヤーでも強力(中には強力過ぎるのも)なアシスト出自等で、発売開始時の様な行き詰まり感を感じる事は減った。まぁどうしようもなく強いボスも出てくるので倒される時は倒される。


色々炎上したりで評価がエライ事になっているが、可能なら中文が読めて、それが駄目でも英文がある程度読めるなら遊んで良いと思う作品。ただ、出来れば中文は少し読めた方が楽だ。何故かというと完全に英文化されている訳ではなく、未訳部分もあるからだ。また、当然だがMODの大半は中文のみである。

瓔珞事件簿之誰殺了愛情

「瓔珞事件簿(シリーズ) (サブタイトル)誰が愛を殺したのか」


 

 【Steam】《瓔珞事件簿之誰殺了愛情》游戏预告 - 国产推理类新作


オーソドックスなAdv。

異常に安価だがこれで元とれんのか。私が心配してもしょうがないが。


瓔珞探偵事務所の所長、珞伊(ルオ・イ)と所属の探偵(部下ではない)璎子(イン・ズィ)…まぁサクラコなんでしょうが、珞伊の方は実はよくわからない。lokまでは確実なのだが…ロキとかか?


推理力とハッタリに優れた珞伊と、聴力と口の悪さに優れた璎子の二人組でチュートリアルを兼ねた事件+殺人事件を追う。

制作は傅真。聞いた事ある人もいるだろうが、探偵小林(探偵とあるが、実際には英語のDetectiveで特捜部の刑事隊長)の作者だ。この人相当な仕事中毒なのか、年に複数本のゲームを作成している。これも友人らしい致意から「端木斐 VS 小林正雪」のエンジンを貸してもらって絵と音楽以外はほとんど一人で作ったらしい。


凶悪事件も少なくないXX市(本当にこういう名前)には難事件解決で知られた二人組の探偵がいる。それが瓔珞探偵事務所の珞伊と璎子。傍から見ると喧嘩してるようにしか見えない二人が遠慮のない意見交換をしつつ事件に挑んでいく。まぁそんな感じのゲームだ。選択肢を間違っても、直近から再開するのでマルチエンディング以外の場所でハマる事は無いだろう。なのでカジュアルなゲームである。


探偵小林では物凄い多かった逆転裁判要素がかなり減り(それでも無い訳では無い)一般的な推理Advっぽい作品になった。日本では絶滅危惧種に近い推理Advだが、まぁこれは本当に逆転裁判のお陰なんだろうが、世界的に見れば推理Advは意外な形で生き残っている訳だ。


ちなみに瓔珞の噂を聞きつけて休暇を兼ねてこの街にやってきた小林刑事とその部下松田が登場する。…のだが探偵小林は序盤しか遊んでいないので実はこの二人の事はよく知らない。松田が恐ろしく凶暴なのは知ってる。


殺された映画監督の死の謎とその動機を追うのが本編。ちなみにセーブデータを見ると推理編と書かれているので別なのもあるの?と思ったら後記で判明するが、当初の予定では推理編/愛情編の2つがあり、両方を遊ぶと話が見えてくる、みたいな構想だったらしいが進め方によってはネタバレになってしまうので愛情編は無くなり、その要素は推理編へと組み込まれたそうだ。


「人気があったらシリーズ化したいと考えています」とあったが、現在続編の話は聞かない。私はこの二人が登場するなら続編買いたいと思っている。


 

 瓔珞事件簿之誰殺了愛情 MOD適用テストサンプル

2022年7月16日土曜日

異夢迷都

 寄居隅怪奇事件簿を作ったArrowizの新作(2021年4月にティーザーが発表された)、異夢迷城が、日本題「異夢迷都」として遂に発表された。

・二人の主人公

 若き探偵の「名無し」

 駆魔師の「鍾馗

プレイヤーが操作するのは主にこの二人。


探偵の名前は今回初めて紹介されたが、「Doe」はどうやら「John Doe」であるらしい。


昔のティーザーで見た時は現実世界での捜査を探偵が、地下世界での探索を鍾馗が、みたいな印象を受けたのだが、

実際には現実世界に探偵も鍾馗も蝶何某も同時に存在している。鍾馗は駆魔師としては優秀らしいが、「じゃあ殺してしまおう」となるのを探偵が「いやいやまず調べてからだ」みたいな関係で分業するらしい。


・パーティメンバー

 様々な事情で参加する登場人物達がいる。

 名前の一部が判明しているのは現在一人だけ。


 口を覆った軽装の「蝶?」(蝶で終わりなのか、蝶何某なのか不明)

 京劇らしき化粧と扮装の「女性」(2021年4月のティーザーで出た時とかなり異なるが)

 ハンチングにC96二丁を持った「鬼?」(蝶?と同じく、?部分は不明)

 みうらじゅんみたいな髪型にロングコートの「男性」 (間違い。髪じゃ無かった。上の男性と同一のようだ)


・探索

 主に探偵が行う。足で情報を得て、様々な任務を引き受ける。新しいパーティメンバーとの出会いもあるらしい。


・ダンジョン

 異常空間には2種類あり、ストーリーでアンロック(及びロック)されるダンジョンと、ランダムに開くダンジョンがあるらしい。

 戦闘時、パーティは全員で一つのHPを持ち、能力やスキルは個々人が持つ。パーティの最大人数は4人。


・キャラクターカスタマイズ

 ダンジョン等で手に入る。装備にはそれぞれ属性がありその組み合わせでボーナスが発生するらしい。

 タレント(スキルツリー)は陰陽がある。ツリーがわかれているのか、その辺は不明。Diablo2とか旧World of Warcraftに似た構成だ。


・舞台

 1930年代の近代化された旧上海(これを新都と呼ぶ)。(この設定消えました。)

 海外版で使用されているMatoは恐らく村松梢風が小説で使用した「魔都」から名付けられている。

 …のだが、海外版でこの設定はどうやら変えられたのか、Telosmaという国のMatoと言う街である。

 Telosmaは学名は夜来香属と呼ばれるそうだが、通称は…という訳で相変わらず凄いビーンボールだ(笑)

 海外のPressでもポストアポカリプスという表現があるので私が知っている頃と現在の設定にどれだけ乖離があるのか不明。

 なので、オリジナルの中国語版とその他海外版に大きな設定の違いがある可能性が現在高い。(現状全く不明になりました。)


・つまり…?

 オリジナル版は1930年代の魔都(をファンタジー及びサイバーパンク化した)を舞台にしたJRPG。(この設定消えました。)

 

 海外版はポストアポカリプス後に作られたTelosma国にあるMatoを舞台にしたJRPG。


・同じじゃないの?

 (この項、全文削除となりました。) 


・パブリッシャー

 中国ではYooreka Studio(Tencent)

 中国以外の国ではPrime Matter(Koch Media)

 但し、中国では現在国新出审(出版コードのような物。これが無いと中国国内で販売できない)を取れていない。早くても8月頃だろう。

2022年7月2日土曜日

Cyber Manhunt

企業ハッカーとして人肉検索を行うゲーム。

一部のパズルが異常に難しい。


中国のAluba Studioが開発した、ストーリーパズルゲームでプレイヤー(名前は最初にアカウントを作る際に入力する)はTitan社のCIOから真相を探るよう簡単な情報を渡される。


名前をサーチエンジンで検索し、Toothbookで本人の投稿から情報を得たり、Titan社のDBで検索して個人情報を完成させ、よりクリティカルな情報(電子メールやメッセンジャーのパスワードとか)を入手してゆく。


検索エンジン、電子メール、メッセンジャー、電話、Titan社DB、Titan社クラックツール、フィッシング(相手の携帯のルート権限を得る)、等を駆使して人間関係を探り出し、真相に迫る…というゲーム。


Orwellに似てるとか想像されるかも知れないが、流石人肉検索の本場、やり口も進め方も生々しい…。「事件が解決出来ました!」みたいな展開はまずなく、「…事件は一応の解決をみました…」的すっきりしない展開が続くので、好みが分かれる所なんだろうか。とは言ってもこういう盗聴とか普通にアリな内容でスッキリする作りなのもそれはそれで問題だろうしね。


話が進む毎にゲームの難易度はとんでもなく上昇していく。最後の方は時間制限との戦いになる。私としてはこれは勘弁して欲しかった。まぁ救済策はあるので全くクリア不可能という事も無いのだが、ともかく難しい。Secret Worldを思い出すぐらい難しい。知識を求められない分アレよりは簡単なんだろうけど…。


後半の余りの難しさにDLCは結局購入しなかった。興味深い内容だとは思うのだが、本編の余りの難度の高さに挑戦する勇気はなかった。


Metal Max Xeno Reborn

 Steam版が発売されたので買ってプレイ。

悪く書かれている事はほぼ全て事実。

だからと言って楽しく無い訳では無いという不思議。

元であるMetal Max Xenoのシステムとかを一新して別物にして、(あれだけ削ったXenoから更に)色々削りに削った作品。

若干Metal Max「らしさ」を取り戻した代わりに、調整の欠片も見つからないシステムの数々。

破綻したスキルシステムとかそこら中が破綻した作品なのだが、8bit時代に見られたアイデアは満載で企画はスタートしたが、実装できたのは2割みたいな「魅力の一端」は伝わって来る、95%ぐらいの人が脱落する作りになっている。


シリーズ従来通りの攻撃>回復のシステムなので、全滅する前にどれだけ一気にダメージを積み上げるか、みたいなリスクの低い(何故低いのか?それはサバイバルモードを除けば全滅のペナルティが無いから)勝負をする。敵のHPがわからないので、色々やるのに意味を見出しづらいというのもその傾向を助長している。


やり込む人だと、ノーマルは1日で終わるらしいので(まぁ私ですら3日だったぐらいで。しかも間違ってラスボス戦に入った結果終わった)ボリュームは信じられない程無い。マップはほぼXenoと一緒。ファストトラベルのロケーションは増えたので、移動自体は楽だ。何故か瞬時に移動出来るシステムなのに、現在位置を知る手段は無い。


前作であった、1台に複数人乗るシステムが消滅してしまったので、荒野を彷徨う感じは減った。代わりに新しい戦闘システム用にボス戦用車体、雑魚戦用車体などを準備する楽しみはある。前作より良くなった点としては(これは好みが分かれる部分らしいのだが)戦車っぽくなった。今までは戦車の形をした戦闘マシン(ロボット物の有人ロボットみたいな)だったのがちゃんと砲塔を動かしたり、超信地旋回が可能になった。…これが面白さに寄与してるのかと言うと難しいが、無限軌道なのにガレキ一つ乗り越えられないという30年前ぐらいの挙動は批判の的になったようだ。そりゃそうだよな。Unityなんだからその辺何とかなりそうなもんだと思うのだが。


バグは既にコンソールで出て幾らか消えているらしいが、Steam版でも前からあるのか、新たに増えたのか、健在だ。

一番キツイのは戦闘が終わらない(メニューも開けない)奴だった。全滅したら(あるいはアイアンベースに戻ったら)解消される。

他にも細かいバグは大小結構残ってる。


文句を言おうとすれば、それこそ幾らでも書ける(属性関係のバグだか仕様だかわからない所とか)、シナリオは前作でも序盤以降はほとんど読んでいなかった。RPGに限らないが、私は元からストーリーには大して興味が無く、ストーリーを読むかどうかはキャラクターに興味を持てるかどうか、なんだと思う。このゲームは(前作もそうだが)キャラクターにも興味が持てないし、その結果としてストーリーにも興味を持っていない。でもまぁウロウロしてアイテムを探して一憂するのは楽しい。MMORPGを人に気兼ねなく一人で遊んでいるような気分になる。多分前作もそんな事を考えながら遊んでいたのだと思う。


Metal Max 4と比べるとしたら、比べるまでも無い。4は(チュートリアルさえ越えて自分でパーティ組むようにさえなれれば)本当に傑作ゲームだった。Rebornは佳作にさえなれない、佳作と駄作なら駄作に限りなく近いと思う。でも遊んでいたら楽しい。今年遊んだRPGの中では結構楽しんでいる。


大昔、私はゲームの出来は面白さに直結するのか?という疑問があった。結論が出たのが1990年半ばぐらいだったと思うのだが、私の出した答えは「ゲームの出来と面白さはイコールでは無い」という物だった。もちろん出来が良い作品が詰まらない訳ではなく、出来の悪い作品が必ず面白い訳では無い。ただ、出来の良い作品というのは遊んでいて息苦しく感じる事が多い。(そして出来の悪いゲームは単にぶん投げる事が多い。)


その理由は出来を向上させた結果、作品そのものが丸くなってしまい、遊んでいてもやらされている感が強いと感じるからだ。例えばRPGの戦闘を考えてみよう、普通のRPGならプレイヤーの戦闘準備の効率って2倍ぐらい(5倍を越えるのは稀じゃないだろうか)で、武器の攻撃力が220から数時間努力して224みたいな上昇とかになる。この辺に面白さを見出す人もいるのだろうが、私はそこに徒労しか感じない。Rebornでは(Xenoもそうだったが)割と簡単に5倍を突破する。上は私の知らない世界なので、後はプレイヤーがどこで妥協するか、しないかのレベルなんだろう。


「ゲームのデザインは雑であるべき」とは言わないが全てのゲームが「出来とお行儀の良いデザイン」である必要は無いと思う。少なくとも私が遊んでいて面白いと感じるのはどちらかと言うと雑なデザインの方だ。これはプレイヤーの行動に対してレスポンスが得られやすい(もちろん全然得られない終末的デザインも数多く存在する)からなんだと思う。


ゲームの何が面白いのかは人それぞれ違う。当たり前だ。このゲームはデザインが雑である事によって結果的に(多分意図せずに)プレイヤー側の裁量が極端にデカくなってる。大半の人にはそれはアピールしないだろう。だから酷評の嵐なのも当然と言えば当然だ。ただ、私はこのゲームが一般的JRPG的に出来の良い状態になっていて、良いストーリーを持っていたとしよう、多分「詰まらんな」と感じていたと思う。