2013年5月7日火曜日

Steamの昔

今のSteamは非常に安定しているが、最初にリリースされたSteamは酷い物だった。
一番大きな違いは、今はダウンロード完了→起動設定→起動だが、最初はストリーム配信を使っていた。つまり最低限の環境をインストールしたあと、必要なデータを随時ダウンロードする仕組みになっていた。今で言うYouTubeみたいなものだ。

じゃあなぜ酷かったのかと言うと、当時の回線は今の数千分の1ぐらいの能力しかなく、ほとんどのユーザはADSLの普及前で数キロ単位の回線しか持っていなかった。ゲームが始まる→数分の読み込み(操作不能)→少し進む→数分の読み込み(操作不能)と、こんな感じ。最初はHalf-lifeしか遊べなかったが、Steamの一番の売りはHalf-Life2が遊べる事だったので、本気で「これでHalf-Life2の配信なんてできんのか?」という印象だった。

結局ストリーム配信から現在のようなダウンロード形式に変わった(ごく初期はストリームだったような気がする…があまり良く覚えていない)ものの、元々ストリーム配信用に作ったからなのか、シーン切り替えの読み込みはかなり遅かった。もちろん現在の性能ならそれほどストレスにはならないのだろう。問題にならなかったのはHalf-Life2がそれほど面白くなかったからだ。Half-Lifeは何度も遊んだが、2はそうでは無かった。発売が遅れに遅れたのも、偉大な前作のおかげで期待し過ぎたのもある。技術ムービーが凄すぎたのも理由だと思う。凄さを感じる事が難しい時代なのはHalf-Life2 ep3がいつまで発売にならない原因の一つでもあるのだろう。

それでもSteamが凄いのはゲームの流通を完全に変えてしまった部分にあると思う。大昔はゲームは船便で届いていた(私の利用していた店ははUKから輸入していた)。大体2~3ヶ月ぐらい掛かる。戦争でスエズが使えなくなると喜望峰経由なので更に倍だ。国内で海外のゲームを扱っている店も幾つかあり、そこに注文すれば1~2週間ぐらいで届くものの、必ずしも欲しいソフトが売っている訳でも無いしかなり割高なケースが多かった。私は幸運にもそれほど遠く無い場所に海外ソフトを扱っている店があったため、運が良ければそのまま買って持ち帰る事が出来たものの、雑誌で欲しいソフトがあれば当然船便待ちとなる。それが購入して1時間もすればゲームが遊べてしまう訳で時代の流れを感じてしまう。

あの頃の方が楽しかったか、と言われれば楽しかったとは思う。店から入荷の電話を心待ちにしていたような気分は今味わう事はできない。だが、あの頃に戻りたいか?と言われれば「嫌に決まってるだろ」と思う。遊びたいソフトは1秒でも早く遊びたいに決まってる。私はパッケージにもマニュアルにももうほとんど感情は無い。だからと言って古いソフトをぽいと捨てられる程割り切れないのは事実だが、極力パッケージは買わないようにしている。…邪魔だから。今でもNovaLogicの糞みたいなパッケージを思い出す。ああいう糞みたいなパッケージは心底邪魔だ。後はOceanの糞でかい箱とか…。

昔の私は今より馬鹿だったのでAmiga版とPC版何が違うのか?とかで両方買ったりしていた。一番多いヤツだと…5バージョン?(違った6だ…限りなき馬鹿さだな)…ヤレヤレだ。現在、個人の所有するコンピュータにおけるゲーム市場はほぼPCで、今後もMacとLinuxが占める部分も10%を越える事は無いと思う。GaikaiのようなStream主体の物が主流になるには通信網が今より発達しないと厳しいのでは無いだろうか。そう考えるとSteamのような形態が後5年ぐらいはベストなのでは無いだろうか。だが、いつかはそれもベストでは無くなり、家に居ながら通信端末みたいのだけで画像装置に繋ぐだけ、みたいな時代が来るのだろうか。そうなるとゲームを所有する、みたいな感覚はほとんど無くなってしまうのかも知れない。ただ、そうなったとしてもPCゲーム市場みたいな物は残り続けるのだろう、と思う。ほとんどの大作がStream主体になったとしても全ての作品がStreamに乗る事は無いだろう。その頃には安価なPCでも現在のGamePCクラスの性能を持っているだろうから、性能的な部分は余程の大作でない限りクリアされているに違い無い。

いつかは「昔はゲームをダウンロードしてインストールして遊んでたんだよね」というのが冗談だと思われる時代が来るのだろうか。私は「昔カセットテープでゲームが売ってたんだよね」と言って冗談だと思われた経験があるので、そういう時代も来るのだろうなと思う。その頃になったら、Steamを「ああ、あったねそういうの」みたいに言う日も来るのだろうか。

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