2011年6月4日土曜日

L.A.Noire

非常に不思議な作品。


技術も手間もすごい掛かっているのがわかる。
ところが実際遊んでみるとゲームプレイの魅力はあまり感じられない。
当初、40年代のLAを舞台にした刑事物、という先入観を持っていたためゲームの流れに非常に違和感を感じた。
適当に書くと、事件発生、証拠品を発見、容疑者を尋ねる、容疑者逃走、追いかけっこ、逮捕(あるいは射殺)、一件落着。
もちろん取り調べ、カーチェイス等、徐々に出来る事が増えてゆくのだが、なんというかどの要素も非常に薄い。私には当時の雰囲気みたいな物が全く伝わってこなかった。
同時代のゲームとしてMafiaIIの方が時代の雰囲気はあると思う。
どうも制作陣の意図としては刑事物ではなく、刑事ドラマ物を作ろうとしていたように感じられる。そうやって見るとゲームの流れは昔見た刑事ドラマのフォーマットに沿っている様に感じられる。ただ、テンポが良いというよりはダイジェストを見ているような感じが強く、じっくり遊ぶというゲームでは無い。

ゲームプレイ全体も不思議な印象を受ける。なんというかとんでもなく豪華な8ビット時代の作品なのだ。射撃はRed Dead Redemptionより落ち、撃っている感覚はあまり無い。コンソールのゲームなので当然補正を掛けている…のはいいのだが人質にも適用されているらしく、RDR感覚で撃つと人質死亡→やりなおし。ということが何回かあった。
また、表情キャプチャーによる聞き込みは技術の素晴らしさとは裏腹に、成功しても失敗しても特に手応えを感じ無い。コミュニティ登録で使える機能がクイズ番組のミリオネアそっくりで、新しいと言えば新しいのだろうがそのお陰でシーンそのものがまるでクイズ番組みたいな印象を受けてしまう。

インタビューとか見ていても、テストプレイの調整結果としてこういうゲームになったのだとは思う。 だが、なんというかこの物足りなさは非常にもったいない。数年後には続編が出ると思うから、その時にはもう少しプレイヤーに遊ぶ余地があるゲームになって欲しいと思う。

2011年5月25日水曜日

Buzz Aldrin's Race Into Space

米ソの宇宙開発競争を真正面から扱った名作。
経緯は不明だが、現在 OpenSource版で公開されている。

 Race into Space Project
但し、オリジナルゲームの完全再現ではない。ただ、基本的にはほぼ同じだと思われる。
打ち上げ後の成功判定が見れないのでオリジナルのスリリングさが失われているのが残念だが、GOGとかに登場しない限り遊ぶのは難しいだろう。

オリジナルはIBM-PCで、FD版とCD-ROM版がある。違いは若干動画が違う事と、オープニングテーマが豪華になったぐらいでゲームとしては同じものだ。
 プレイヤーはアメリカかソビエトの宇宙開発指導者として、期間内に有人月面着陸を成功、且つ帰還させる事を求められる。双方が達成できなかった場合はプレステージポイントで勝敗が決まる。

ゲームスタート時はエクスプローラー(ソビエトならばスプートニク)+アトラスロケットの開発から始まり、ジェミニ計画発足、アポロ(あるいはミニシャトル) 計画へ…という流れになる。予算はイベントの影響を強く受け、序盤はともかく後半は莫大な予算が必要で頭を悩ませる事になる。

開発を初めある程度の完成度までは地上で上げられるが、それ以上は実地で完成度を上げるしかない。しかしライバル国に先を越されたらプレステージポイントは半減してしまうため、指導者として挑戦するか、打ち上げテストを行い完成度を高めるか、という判断をしなければならない。だがテストを行えば必ず完成度が上がる訳ではなく、場合によっては致命的欠陥が判明し完成度が大幅にダウンする事もありえる。

極端な事を言えばハードウェアは予算さえあればなんとかなる。このゲームで一番難しいのは宇宙飛行士の育成だろう。予算も育成期間も 非常に長いがそれ以上にゲームを通して25人程度しか登場しない。計画毎にたったの7人。ひとり乗りのマーキュリーならともかく、アポロは3人必要だ。打ち上げにはバックアップが必要だからたったの一人しか予備がいない事になる。(ただ、前の計画から残っているメンバーも当然いる。グリソムのように)アメリカはイベントで空軍から3人(その内一人はチャック・イエーガーだった記憶が)が来るのだがスキルが低すぎるので恐らく使用する事は無いだろう…。宇宙飛行士にはスキル(これは訓練で伸ばせる)の他に相性があり、相性を優先するか、スキルを優先するかで悩む事となる。
また、事故や家庭の事情であっさりいなくなったりもするので一危一憂 としか言いようが無い。特に死亡した時にはプレステージポイントに大幅マイナス、国からの信頼もダウンと当たり前だが良い事はない。
特に月面着陸成功後、大気圏突入失敗で全員死亡とかになってしまうとプレステージはもちろん得られず、指導者もプレイヤーも甚大なダメージを受ける。


正式な名称は失念したがジョイントジェミニ計画というプロジェクトが存在する。
ペイロードの関係で宇宙船と着陸船を別々に打ち上げ、ランデブーからドッキング、そして月へ。 こう書くと簡単そうだが数十回の判定すべて成功しなければならない。
見辛いかもしれないが、画面右下の青いバーが成功確率、緑のバーが実際の判定。
判定結果が成功確率を超えると赤いバーとして表示される。軽微な回復可能なトラブルの場合もあるが、致命的なトラブルでミッション失敗の可能性もあり赤いバーが表示される度に胃が痛い思いを味わう事となる。

このゲームは元々Liftoff!というボードゲームだそうで、
Liftoff! (1989)
デザイナーの一人、Fritz Bronnerはコンピュータ版でもデザインを担当している。

日本ではPC98の末期に発売されたが全く話題にならず、\980円で投げ売りになっている所を買った。PC98版は宇宙への挑戦というタイトルでIBM-PCのCD-ROM版に準規していたと思う。