2024年2月18日日曜日

山河旅探

※前半部は1~3章部分の感想、後半部はそれ以降の感想となる。


※結論を言えば、後半部が違和感が凄すぎる非常に残念な作品。

※値段は安価なので前半部分で私個人としては元が取れたと感じている。



逆転裁判要素がとても強いのでそこが気にならないなら楽しめると思う。

そこが引っかかるなら無理だろう。

私は現在第4章(全6章)だが楽しめてると思う。


価格は\1,700円。



制作会社は奥秘之家、2012年から活動しているそうだ。中国北京を中心としたスタジオらしい。主にスマートフォン向けのゲームを制作していたそうで、PCは多分今作が初なんだろうか?

という訳でその中でもかなり影響が大きそうなのが「山河旅探」だ。原題「山河旅探」の山河とは直接的には彼等が移動に使用する外輪船「山河号」と、中国の揚子江の景色も指すのだと思う。因みに英語題は「Murders on the Yangtze River(揚子江での殺人事件)」という、なんというか…まぁイマイチなタイトルだ。英語版は当初同時発売だったが開発が難航して3月24日予定だ。他の言語に移植されるのかは不明。売れてはいるし評判も良いからスマートフォン向けに日本語版が出るのかも。


主人公は沈仲平。国民探偵とあるが、国家認定の探偵なのか不明。刑事では無いらしいのだが。弟子を伴い殺人事件に巻き込まれたり、捜査を依頼されたりする。辮髪に満洲服という清朝ならではの恰好をしているのが特徴。正式発表後、洋装姿も公開されて変更になるのかよ?と思っていたら過去にイギリスに居た時の恰好がアレだった。なお、ゲーム中に切り替えが可能。まぁ満洲服姿に扇子を持つ格好は決まってるのでこちらの方が良いんじゃないだろうか。


清朝末期だけあって科挙の廃止や西洋文明との摩擦とかも扱われる。開発によると考証は時間を掛けたとの事。助手や記者の格好を見るとまぁそこはそれエンターテインメントを重視した作品であり、そこまでがんじがらめににはなっていないのだと思う。


逆転裁判において、始まった瞬間にうんざりする「探偵パート」は繰り返しを避ける為にひたすらフラグ探しをしなくて済む構造になっている。なので引き延ばし要素みたいのは余り無い。佳境に入ってからの相手証言の穴を付く構造や、演出(特に音楽)は半笑いになるぐらい逆転裁判そのままだ。なのでここで引っかかるか、そうじゃないかがプレイヤーが受け入れられる分水嶺になると思う。現状、中国においてはかなり受け入れられているのだろう。舞台が中国だからなのか、このゲームの出来が受け入れられているのは私には判断が付かない。


音声はパートボイス。テキストスピードは瞬間表示には出来ないものの、許容範囲。テキストは専門用語を除けば比較的平易で、ある程度中国語の知識があれば話を追う事は出来るだろう。仮に日本語版が出るとしても大人(たいじん)が訳されたり、先生が「さん」付けになったら興覚めなので多少読めるなら中国語で遊ぶのを推奨する。英語では…わからん。中国ゲームの英訳版って良かった印象は私には無いので未知数だ。因みにイギリス時代のシーンでは文章は中国語表示だが、音声は英語になる。この辺は凝った作りだ。


オリジナル要素として、リアルタイム論陣(正式名称は知らない。今適当につけた)があり、物凄い早口で議論を行うモードがある。正しい選択をすると相手側を押し、間違うと押されてしまう。選択に時間を掛け過ぎたり、押されきったりするとゲームオーバーだ。まぁゲームオーバーになってもオートセーブがあるのでやり直し感はそうでもない。ミステリー要素はうーん…本当に逆転裁判っぽい話が多く、ミステリー目的だったら多分駄目だろう。つまりオチから逆算されて作られている話が基本で、ゲームとしては問題無いと私は思うが、ミステリーマニアが期待する様な要素は無いと思う。まぁミステリー要素を期待するのならゲームってあまり媒体として適して居ないんじゃないの?というのが私の見解なので、これは人によって見方が違いそうだ。


グラフィックは立ち絵はリアルな等身だが、基本3D描画された2Dのデフォルメキャラ等身で展開される。背景は水墨画っぽい線で中国感を表している様に感じられる。


逆転裁判フォロワーであるのは間違いないが、清朝末期を舞台に辮髪のハンサムが扇子を持って捜査を行う、というのはこの作品ならではであるのは間違いない。そこに魅力を感じるのであればこの作品は期待に応えてくれるゲームだと思う。功夫のゲーム以外で拱手を見る事はそうそう無いだろうし。伝承関係や専門用語はゲーム内に用語辞典があるのでさっぱりわからんって事にはならないと思う。章の間に表示される「山河号」での移動シーンは美しい。


UIはマウス+キーボードとジョイスティック双方に対応しているが、若干の混乱が見られる。用語辞典関係は少し使いづらい。その他に関しては若干レスポンスが悪い印象を受けるがゲームとしては問題無い範囲だと思う。


※ここから後半部の感想となる。ネタバレしたくないがすると思う。未プレイの方は読まない方がいい。