2021年12月31日金曜日

2021年ベスト&ワースト

ベスト&ワーストは私が単にその年遊んだゲームから選ぶ代物で発売年等は一切考慮しない。 


2021年ベストゲーム

Oxygen Not Included(PC) 

2019年に発売されたカナダのKlei Entertainmentのゲーム。知らなかったが、創業者の人はRelic(まだ”Relic”だった頃)でAIプログラマーをしていたそうだ。私が初めて遊んだのはMark of the Ninjaだったと思うが、グラフィックは綺麗だがあまり印象に残らない会社だった。Don't Starveが話題になった時も動画で見て「忙しそうだな」と思って遊んでいなかった。ONIに夢中になった後、遊んでみたが(安かったし)感想は変わらなかった。

前置きが長かったが、ONIはゲームデザインにおいてデザイン的にも優れ、ビジュアル的にも優れている近年稀に見る傑作である。まぁ私は発売から2年も遅れて遊んでいるのでアレだが、ゲームデザインの研究をされている方なら見て損の無い一品。ただ、時間はべらぼうに消費するので、そこが一番の注意点だと思う。定期的にセールがあり、\1,000円以下になるので格安だ。DLCは本編に飽きてからでも問題無いと思う。


2021年ベストストラテジー 

Hearts of Iron IV(PC) 

補給に線路ルールが入った。まぁ滅茶苦茶な状態で、Drang Nach Osten化が進んでいる気がするものの、当初出来なかった事をやろうとしているのだろう。多分。鉄道路線の奪い合い(CPUはそれほど守ろうとしないが…)はNorth & Southを彷彿とさせる。立ち上げたのは相当久しぶりだったが、コンピュータ同士の戦争を見てると前よりはマトモになったようだ。前はポーランドがロシアを征服してたからな…。

コンピュータ同士でも戦えるのだから、もういい加減プレイヤーが朕は陸軍司令官にして海軍司令官にして空軍司令官である、みたいのはもういいだろ。委任とかできるようにならんのかね?軍需相モードみたいのもあって良いと思うのだが。


あと、空軍は何とかならんのか。陸軍があんなに苦労して配備なのに、生産出来たらすぐ配置、インディペンデンスデイじゃねぇんだから…。

空軍も陸軍みたいに航空団とか指定して配置でいいのでは無いか。こういう話が出ると「アメリカでは何千機…」みたいな話をする人がいるのだが、アメリカだって何千機一度には飛ばして無いだろ?パイロットの訓練だって必要なんだから。


2021年ベストRPG 

黄泉ヲ裂ク華(PC) 

人から勧められて買った。前にVitaでこの会社のゲームを買ったが「なんじゃこりゃ」という出来だったので、悩んでから買ったがこれは面白かった。面倒な部分は簡素化されており、システムはかなりスマートになっている。時代設定が70年代なのだがゲームでは特に意味を感じない。何故70年代にしたのだろう?あと、聞いた限りではこのゲーム、同社のシリーズ作品では一番簡単らしい。それでも私には難しいゲームだったが、なんとかクリアできたので、確かに簡単なのかも知れない。ポートレートが大量にあるが殆どが間違い探しレベルなので、これはちょっと…という感じだが、幸いPCでは書き換えが可能。


2021年ベストドライブゲーム 

BeamNG.drive(PC) 

マップはかなり広いので、適当に走っていても楽しい。売りはソフトボディ物理らしく、YouTubeでも盛大に壊す動画とか沢山あるが、走っていても楽しい。運転感覚がリアルなのかは正直よくわからない。ハマる人はべらぼうにハマるらしい。私は適当に市街とか郊外を走れるのが楽しく感じた。Mod対応しているので、コースとか車を増やせるらしいが、まだそこまで遊ぶ余裕が無い。



2021年ベストサウンドトラック 

Oxygen Not Included(PC) 

Vince de Veraが全曲手掛けている。Klei Entertainmentの社員なのか、他のゲームは手掛けていない?SteamでOSTを購入可能。DLCの追加楽曲も収録されておりとてもお得だ。曲調は穏やかな物が多く激しく盛り上がる事も無いものの、聞いていて飽きない曲が多い。数百時間遊んだ現在でも音楽をOffにした事は無く、しっかりとゲームを盛り上げてくれる仕上がりだ。


2021年ワーストゲーム

RimWorld(PC) 

ONIを夢中になって遊んだ後、見逃していた作品もあるかも知れん。という訳で何本か手を出した内の一本。

まぁ褒める所の無い作品だ。…ああ、Mod対応はしてました。そこは褒める所ですね。「なにそれ?」「なんじゃそりゃ!?」「ふざけんな」の無限ループ作品。理不尽さを愉しみたい人向けか。ただ、理不尽なのはゲーム内容では無く、ゲームデザインそのものなんだが。ああ、UIも酷い。VBリスペクトみたいな。腐れゲームマスターのプレイヤーとして遊ぶシミュレータみたいなゲーム。


2021年最もガッカリしたゲーム 

Hermitage: Strange Case Files(PC) 

オリジナルの中国語版は大変面白かった(私の2020年ベスト)が、紆余曲折あって漸くでた英語版(今度ドイツ語版も出るらしい)は翻訳もアレだがカットインエフェクト全カットという謎のダウングレードバージョンで、「遺跡」の訳は「Trail Of The Missing」なのはコダワリの翻訳らしいが、人名だけ中途半端に英語圏化し、地名、固有名詞は中国語のままという謎の仕様。例えば街の名前は「新都」だが、英文では「Xindu」とそのまんま。じゃあ名前も中国語の英語読みで良く無いか?

原文で一つの単語を複数の訳語という理解不能なミスを大量にしており、Xindu以外にMato(…魔都の事らしいが、原文では新都だ)という単語が出てきたり、旭日(曲名)の訳もRising SunとSunriseという2つの訳語が登場する。

あと、まぁ英語圏だからしょうがないのかも知れないが、キャラクターの関係性みたいな所がほぼ全カット。凄い重要な所でも。なにがって呼称レベルで違う。これは「ローカライズ」だからなのか?


次点はDisco Elysium(PC) 。アレだ、Max Payne3みたいなゲーム。だらだら喋って、特に意外性の無い事をする。それを繰り返すゲーム。部屋の中でヨロヨロあるいているのに、部屋の外出た途端何事も無かったかのように歩き出す所が一番の見どころ。UIはわかりづらくお粗末なのが次点。続けたら面白いのかも知れないが、そこまで頑張る気力は湧かない。


2021年EA賞 

EA(EA)

なんというか…莫大な開発費はどこに消えたのか?という様な作品を連発してる。「これから直していきます!」とか言ってるそうだが、1,2年で新しいのだすんでしょ?どうせほとぼりが冷めたら「直すのを中止する決断を下しました」とかTwitterで言って終わりだろ。


2021年恥知らずな会社賞 

Giiku Games(Giiku Games)

主に中国語圏のゲームをローカライズして英語圏に販売している会社。ローカライズの程度にも疑問点が残る所だが、一番問題なのが出来上がった作品をテストプレイしていない事だ。必要なアイテムは〇〇です、で、実際に手に入るアイテムは××です、なんてのはテストプレイで潰せるもんじゃないのか?趣味でローカライズしているのかも知れないからしょうがないかも知れんけど、納期を読む能力の無さで発売時期を完全に逸した状態で発売→注目もされずに終わる。この繰り返し状態だ。ローカライズを委託した会社にはいい迷惑だと思うよ。


2022年展望

2022年…なんかパッと思いつく作品が無い。中国圏での作品は今後発売されるのか怪しい(というか本当に情報が出なくなった)ので、Black Myth Wukongとか異夢迷城はちゃんと発売されるんだろうか。

Victoria 3は出たら誘惑に負けて買ってしまいそうだ。ただ、ParadoxはVampire: The Masquerade Bloodlines 2みたいに発売未定どころか発売されるのかすら怪しい状態だったり、開発中のラインが何本か消えたりとか(まぁ消えるのは今に始まった事じゃないですが)良く無い話も出てるので…ってVictoria 2も発売直後は凄い出来だったので前と余り変わらんのか。


EPICは完全に時間切れ。Tencentの援護射撃も期待出来なくなったので、後は無料ゲームと裁判(新しい話題だ!)以外に話題になる事は無いだろう。


次年度のゲーム、みたいので相変わらずシネマティックトレイラーが、あれに限らず余程の事が無ければ何度も見ないコンテンツに開発費の何割かが消費される訳だ。ちなみにトレイラーで使うのだから本編より早く着手せざると得ず(外注先に渡すから)、開発もろくに進んでいない状態で資料を出さざるを得なく、トレイラーを出した以上ゲームは予定通りに(後は延期するか、未完成で出すかの二択)出さねばならない。

今年も沢山のトレイラーが出たらシネマティックで特に話題になった作品も無いだろう。あんなの出すぐらいなら、UbiやEAみたいに「これが実際のゲーム画像です」という嘘予告の方が求心力あると思う。Indiesでもアニメトレイラーみたいの多いが、ロゴ、アニメ、プラットホーム、202*発売、こんなので終わりだ。何のアピールなの?アニメをアピールしたいのか?嘘でも良いからゲーム内容を紹介した方が良いと思う。

2021年12月12日日曜日

RimWorld

 プレイヤー”クスリ ツカウ コロニスト”

パーサー”ソレハデキマセン”

出来損ないのシステムに、嫌がらせの為のUIの奇跡的マリアージュ。

Oxygen Not Includedを遊んで「今まで食わず嫌いだったけど、サンドボックス系にも面白いゲームがあるのか?」と思って買ったのがRimWorld。

一見の価値ありなゲーム。褒める所?なんだろう…Mod対応してる所かな。

他は無いね。

まぁ典型的バカの考えたゲームデザインで、そいつの頭の中では史上最高のシステムなんだろうけど、遊んでいても面白いとは思わせない為に信じられないぐらいの努力をしている。

ともかくデザインに関しては本当に凄いよ。

ゲームの概要を話そう。宇宙船が墜落して三人を操作して、三人を殺させるゲーム。ちなみにこの三人、増える事もあるがランダムだとかなりの確率で頭がおかしい(製作者の頭の中では世間の5人に一人は放火魔なんだろう)ので、デフォルトのままだと襲撃が無くても終わるだろう。サバイバルなのかって?いや、これサバイバルがメインではない。なぜって例えば食料はどうするのかと言えば、耕作エリアを作る→何を植えるか選ぶ→以上。これはサバイバルとは言わないだろう?世界は狂ってる(遭難した三人も含めて)ので、動物は定期的に発狂して襲いかかってくる、定期的に狂った蛮族が集団で攻めてくる、作物は病気に罹る、怪我したヤツを助ければ薬物中毒患者で発狂して建物で破壊行為に走る。

サバイバルゲームというよりは…なんというかリアリティショーに近い。…なのだが作り手の技術不足から実は三人は何もまともに出来ない。なにせ襲われても逃げる以外はしないのだ。じゃあどうするの?と言うと

戦闘モードに変更して、プレイヤーが操作して戦わせる

ちなみに蛮族に勝った所でプレイヤー側には何のメリットもなく、埋葬もしてやらなきゃならないし、当然怪我をしたヤツは貴重な医薬品で治療しなきゃならない。治療しなきゃどうなるかって?出血で死ぬ。それだけ。ちなみに三人の仲間割れで一人が出血で死にそうになっていた。半殺しにしたヤツはしょうがないにしても、関係無い一人を選び、治療を試みたメッセージが冒頭のやり取りだ。まぁ十数時間後に出血死した。

このゲーム何故それが「出来ない」のかは一切説明が無い。

デザイナーの頭の中には理由があるんだろう。

じゃあUIに書けや。

ちなみに三人のバックグランドでアレが出来ません、コレが出来ませんってなるんだけど、「何故それが出来ないのか?」という説明は無い。

Darkest Dungeonは腐れゲームだったが、ゲームデザイン以外は優れていた。RimWorldには優れている箇所は全く無い。…あ、Mod対応してる所は褒めてもいいか。「今日は糞デザイナーの狂気を味わいたい!」って気分だったらこのゲームはいいかも知れないね。

三人と書いたが一人死ねば二人になる。それはそうと様々な理由で人を増やす事も可能になっている。ある日奴隷商人が来た。三人とも放火魔が付いていた。「今のゲームには放火魔が足りない」と思う人にもおすすめ出来るかな。私はもういいわ。

Oxygen Not Included

 非常に危険なゲーム。

中毒性は恐ろしく高く、「30分だけ…」と思ったら3時間経過していたりとか、自分の意思で「今日は止めておこう」と思わないと止めるのはかなり難しい。

ゲームは小惑星(?)に送り込まれた複製人間3人が惑星内深くから地下(マグマがある)と地上(宇宙空間に面してる)を目指し、最終的に40万キロ(…でしたっけ?)先の天体まで到達する、というモノ。

地下深くを目指すのは、石油資源(ロケットの燃料やプラスティック等の生産に関わるからで、地上を目指すのは他の天体を観測し(観測していない惑星にはロケットを飛ばせない)ロケットを飛ばす準備をする為だ。

…まぁそれが目的なのだが、そこは遥か彼方先の話で最初は

  • 限られた空気
  • 限られた食料
  • 電気ゼロ
  • 水無し

の狭い坑道から始まる。水を確保し、食料の生産を始め、電気を発電し、技術研究を始め…と無限にタスクがある。電気に至っては最初は複製人間が車輪を漕いで発電する。その発電をバッテリーに貯めて機械を動かし研究設備を動かし、その研究設備には土を定期的に補給する必要があり…とありとあらゆる事柄が繋がっている。

酸素は初期の救済策としてオキシライトという酸素を発する物質があるが、生産手段が手に入るのは後になるので、その間に様々な方法で酸素を得る必要がある。一番使用頻度が高いのが水から電解で酸素と水素を生み出す方法だと思うが、酸素は当然複製人間の呼吸に使われるとして、微量に生み出し続けられる水素は当然呼吸に適さない。

このゲーム、液体と気体には重量があり、水素は酸素より軽い。つまり上に上がれる場所があれば水素はどんどん上に溜まってゆく。ちなみに酸素を呼吸してる…という事は二酸化炭素も増えて行く。二酸化炭素は気体の中では重いので底に沈んでいく。最初はどちらも微量なので無視出来るものの、時間が経って減る事は無いのでどう処理するのかという選択を迫られる。

…とまぁこんな感じで膨大な状況を少しづつ解決し(あるいは解決に失敗し)て出来る事がどんどん増えて行き、プレイヤーの解決知識を高めて行くゲームである。このゲームのデザインの非常に優れている所は、事態の解決が困難になった時、「何が原因かさっぱりわからん」ではなく、「ああ!(かなり以前の)アレが原因か!」と解る様に作られているという事だ。

最初は生存のみを考えて遊ぶと思うが、次からは少し先を考えて遊び直し、その次は更に少し先を…を果てしなく繰り返す。プレイヤーとか見てるとプレイ時間4桁とか居るが、なるほどこれは中毒性高すぎるわ。

後、この手のなんていうの?サンドボックス物?で良くある問題点が2点が解決されている。まずは規模が大きくなればなるほど発生するマイクロマネジメント(マウスであっちをチェック…こっちをチェック、を無限に)はプレイヤーが自動化を行う事で処理可能。また、いつまで経っても目的を達成しない、優先度を変えても達成出来ない、という事象についてはパス計算をかっちりやる事で解決している(但し、移動距離が馬鹿みたいに長いと到達出来ないのと、複製人間に仕事の好みがあるのでそこは仕様となる)。ただ建設関係は雑に命令を出すと時々複製人間が閉じ込められたり取り残されたりするので、現場はある程度見守る必要がある。

で、サバイバル物なのだけど、小惑星の種類とランダム構成と難易度「サバイバル」か「楽勝」を選べ、私は楽勝でしか遊んでいない(多分この先も楽勝以外遊ばない)が、楽勝であっても面白さが劣化する事は無いと思う。もちろん挑戦こそ命な人は幾らでも上を目指せるのだろう。

ゲームデザインとしては「ここはリアルっぽく」と「ここはゲーム的に」の分け方が近年稀に見る素晴らしさ。ここ30年の中でもトップクラスのデザインだと思う。気体、液体は1マスという視覚的に理解しやすいデザインになっている反面、熱に関しては物質の比熱、伝導等が物凄い細かく計算されている。エンジンはUnityを使用しているが膨大な処理を行いつつ、ゲームそのものは意外な程軽い。もちろん開発が進むにつれ、少しづつ重くなり続ける(が、プレイ不可能になるのは相当先だろう、多分)。

誰の言葉か忘れたが(シド・マイヤーでしたっけ?ウィル・ライトだったかな)「優れたゲームデザインとは教育的であるべきだ」、これはゲームは勉強の替わりになれ、とかシリアスゲームの話をしている訳では無い。シヴィライゼーションではプレイヤーは都市は水源(出来れば海にも)の近くに作らねばならないと経験的に知る。もちろんプレイヤーは知識として都市化に水源が必要だとは知っているだろうが、優れたゲームデザインを通して得られるモノはより経験的で普遍的だと思う。このゲームに関して言えば「熱」が最も大きなゲームデザインだと私は思う(まぁこの先、変わるかも知れないが)、ほぼ全ての物が熱を発し、大型の機械は大きな熱を発する。冷却は基本的に熱交換に過ぎず、熱をどこかにか処理しない限り、居住地の破滅を招く。つまりエアコン使って部屋が冷えていたら当然その熱はどこかに行ってる訳だ。知識としては知ってる話だが、それがどれだけ恐ろしい事か身をもって経験出来る。

非常に危険で恐ろしく傑作。Oxygen not Includedはそんなゲームである。