2014年4月13日日曜日

Indianapolis 500: The Simulation

1989年にPapyrus社(発売はEA)が世に送り出した傑作シミュレーションレースゲームがIndianapolis 500: The Simulationだ。

 "Indianapolis 500: The Simulation" (1989) Intro - PC (Roland MT-32 - Munt) vs. Amiga (A500)

1989年に、このゲームを初めてIBMの…名前は思い出せないが、MCAバスを搭載したPCだったと思うで動くのを見せて貰った。衝撃的だった。
今でこそ3Dのレースゲームが溢れかえっているが、アーケードで1988年にナムコのウイニングランが出たぐらいで(当時はアーケードの方が圧倒的に画面は美しかった)個人用のPCで3Dのゲームというのは相当珍しいシロモノだった。もちろん3Dのゲームは8ビットの頃から存在していたが、モデリングは非常に簡略化された物がほとんどで、箱に申し訳程度に図形が貼り付けられていれば車だったし、四角い板が貼り付けられていれば扉でもあった。このゲームではちゃんとカートに見える。

だが、このゲームが凄かったのはまだラインスクロール全盛の頃に「レースシミュレーション」として開発された、という部分だ。車体は細かくセッティングが可能で、燃料の重さまでシミュレートされており、予選ではギリギリの燃料を入れて車体重量を軽くする事も可能だ(本戦でもそうなのだろうが、私は200周完走した事が無い)また、ギアの設定も変更可能で、高回転を維持するとエンジンが壊れるという経験をしたのはこのゲームぐらいだ。確か13000回転ぐらいでレッドゲージだったと思う。ラインスクロールのゲームではアクセルをベタ踏みしても怖いと感じた事は無かったが、私はこのゲームで初めてそれを怖いと感じたのを覚えている。

ところで音楽が掛かるのはタイトルのみなのだが、メガドライブで遊んだ事がある人には聞いた事があるような印象を受ける人もいるのでは無いだろうか。Rob Hubbard(Wikipedia)はEAでかなりの数の作曲をしていたので聞き覚えのある人もいると思う。

私にとって一番の衝撃だったのは、自分が走っていなくてもレースが成立するという点だった。例えば当時のラインスクロールのレースだと、自分が走る事以外ではレースが成立していなかった。走っている他の車は文字通り「邪魔カー」でしか無かった訳だ。このゲームでは仮にピットに何時間も居座っていれば誰かの勝利でレースは終了する。車のトラブルでリタイアするレーサーもいる。

今でこそオープンワールドのゲームがたくさん存在し、自分がその世界の役者の一人、みたいな作品は沢山あるが、当時一般的なゲームデザインという物は極端に言えば自分の周りしか存在しない代物だった。なのでレーザーの一人として参加するこのゲームは私に新たなゲームデザインの地平線を見せてくれた作品だと思う。