予告詐欺では無かった!…というこれだけでも大した偉業なのは間違いない。
※現在3章を遊んでいる。今後の章で感想は変わるかも知れないが裏返る程は変わらないんじゃないかな、多分。
※とかだらだら書いていたら何とか6章まで来た。
ベンチマークが発売直前に発表され、まともに動くか心配だった私のPCでも最高表現とはいかないがある程度動いた。
…まぁ実際本編では場面によりベンチマークより遥かに重かったりするのだが。
私としてはかなり難しいゲームという印象なのだが、この手のを慣れた人には簡単なレベルらしい。とりあえずレベルを上げると楽になる…というが私はレベルを上げても楽になったとは…。
良かったと感じる点
- ・美しいグラフィック(特に背景)
- ・素晴らしい翻訳
- ・題材に即した音楽
良くないと感じる点
- ・悲惨なレベルデザイン
- ・爽快さを感じない戦闘
・美しいグラフィック(特に背景)
序盤は正直そこまで美しくない。森の中なので視界が狭いからだろうか。視界が開けだすと背景のインパクトは大きい。ああ、開幕の第0章のイベントは凄かった。何事かってぐらい。第1章は終盤から美しくなる。細かいオブジェクトまで気合が入ったモデリング。黒が出ないモニターだと本来の美しさが出ないのでIPSだと厳しいか。私は目の関係でVAを使っている(IPSだと眩し過ぎる)が真っ暗な洞窟の先の光景とかは手が止まる。
・素晴らしい翻訳
多分、日本人が訳したと思われる文章なのだが非常に手間の掛かった凝った翻訳で私が今まで遊んだ事のある中文のゲームの中では見た事の無いレベルの翻訳。自称ローカライズ会社の機械翻訳より髪の毛一本分マシみたいな事は無く、雰囲気を損ねる事無く読む事が出来る。ただ、字幕と背景が同色だったり、戦闘中糞忙しい中に普通に表示されたりするのでログとかあったら良かったのに、と思う。翻訳が一部英語で表示され(主にモンスター関係)間に合っていないのだが、現状本編は全て翻訳されている。多分遊ぶには支障の無い状態なんじゃないだろうか。
・題材に即した音楽
ボス戦では西遊記っぽい(?)曲調の音楽が戦いを盛り上げる…まぁ聞いているヒマなんてほとんど無いんだけど。デラックス版だとゲームメニューからサントラ選みたいのがある。まだ聞いていない。メディアは無いが、いずれ出るんだろうか?FLAC版とかあったら欲しいな。
・悲惨なレベルデザイン
インディーズで良くある「グラフィック頑張ったので勘弁してください」モノ。背景は美しいものの、マップは遊んでいて楽しいものでは全くない。探索要素以前に普通にどこに行っていいのかすら怪しい。一部ガイドが出るが駅に行こうして駅の入口に「駅はこちら」と書いてある程度の様なもの。何故か序盤が一番酷い。透明な壁については厳しい声が多いそうだがまぁマップがあればここまでイライラしないんじゃないかな。探索しろって言われても探索する気にもならない。あと、レベルデザインをバラバラにやっているからなのか、悲惨なレベルは本当に悲惨。サブクエストとかあるらしいのだがやる気にならない。本国でもマップデザインは洗練の余地があったという記事がいくつかある。
・爽快さを感じない戦闘
敵はほとんどの行動を(特にボス格は)ノーペナルティで実施出来る(ほぼスーパーアーマー状態)なのに比べ、こちらはほぼ全ての行動にリスクを伴う。術行使時にもほぼ無敵時間は無い。技が全然使えない分、序盤の方が難しく且つ詰まらない。私の能力ではダメージソースは分身>登り棒>小技の順で使い易さはこの逆。つまりひたすら避けつつ、小技をちょっとづつ当てる…そりゃあ爽快感ある訳無いわな。
※この辺で5章辺りに。
細かく分業して作ったからなのか、レベルデザインと敵に統一感は全く無い。遥か彼方から祠への誘導が出る時もあれば、近所のコンビニぐらいまでの距離だったりする。章にもよるが敵の配置はマップの上からスプレーで撒いた様なテイストレスな時も多い。とはいえ2章の全方向遠距離攻撃よりは全然マシか。背景には(特に行き止まりに)コピペが散見されるが、風景自体を変化させているのでコピペ感は薄い。ただ、レベルデザインは総じてお粗末なのでサブクエストとか探す気にもならない。4つ目のまで幕間まで見たが一切台詞の無い一つを除き全て字幕無し。これアップデートで付けて欲しい所。(注:その後アップデートで付いた)
この作品のヒットをもって中国ゲーム開発の明るいみたいな論調があるらしいのだが私は逆だと思う。これかなり致命的なんじゃないか。中国のAクラス以上の作品制作って投資家ありきで成り立っている。逆に言えば投資家さえなんとかなればゲームを制作出来る。(そして投資家が「んー…」となったら資金が引き上げられて終わり。)Black Myth: Wukongも4年掛かってあまりに野心的過ぎる計画から何度か危機があったらしい。投資家は当たり前だがゲームにさほど興味が無いのが普通だ。Black Myth: Wukongは素晴らしいグラフィック、それに見合わないゲーム内容、まぁこの辺は褒めてる人も貶してる人も大体こんな感じだろう。このゲームでレベルデザインやゲームデザインを褒めるのは無理がある。つまり制作側が投資家を惹きつけるにはこのゲームが基準(あとは原神とか)になってしまう。もちろんはったりが効かなかったら資金を引き出せない。いくら資金があろうにもリソースには限りがある。リリース出来るかも不明なゲームにリソースを回すなら目に見える部分に回す必要がある。つまりグラフィックだ。結果的にリリースまで至れば別かも知れないが、そこに至るまでにショートしたり資金が引き上げられたりってのは普通らしく、華々しく予告があった消えたって作品は結構ある。グラフィック偏重でゲームがお粗末ってのはフランスがお家芸だが(あとバグもか)、フランスのゲームがどかーんとヒットしたってのは余り耳にしない。Assassin's Creedは?と言われてもあれカナダのスタジオだしな…ああ、Watch Dogsはかなり近いね。あれは予告詐欺でこちらはそうじゃなかったってのは大きな違いだが、グラフィックが売りな割にはゲームプレイは微妙ってのは共通点だと思う。まぁWatch Dogsはグラフィックも予告詐欺だった訳だが。
この作品が当たったのは西遊記だから。ってのは大きいんじゃないだろうか。敵のデザインは強烈だし。名前を聞いた事がある妖怪がとんでもないビジュアルで激しく動いているってのはインパクトがある。これがもしも西遊記では無く、ジェネリック修仙世界だったら売り上げは1/10ぐらいだったろう。なので遊戯科学が次にこれと似たようなゲームを出すとしたら別な西遊記モノか、…三国志とか?修仙モノは中国以外では受けないでしょうし。良くあるファンタジー世界で出すのだとしたらレベルデザインとかこれじゃあ無理だろう。
※この辺で最終章辺りに。
べらぼうに重い。ベンチマーク全然意味ねぇじゃん。やらなきゃならん事がわかっていても重くて。しかもそれが相当面倒。という訳でクリアしておりません。まぁ終わっていないけど総括。
ストーリーは意外と面白かった。あんまり期待していなかったが、面白かった。ただ、西遊記とか中国神話興味無い人には訳がわからんだけかも知れない。翻訳は本当に良いので興味ある人は買って損が無いと思う。グラフィックが素晴らしいアクションゲームを遊びたい、というのなら他のゲームの方がいいんじゃないかな。遊んでいると感じるんだけど、このゲーム制作中に完成図がイメージ出来ていなかったらしく、デザインが二転三転してると思う。結局最終的にはレベルクリア型ゲームになっているけど、探索はどう?ユニークアイテムは?ローグライクにするのはどう?ライブゲームは?みたいな感じでデザインが右往左往してる様に思える。Blade of Darknessを思い出すな。結局前の装備より新しい装備が良い、以外が無いので属性がどう、って言われても意味ねぇなと。
とりあえず予告詐欺じゃなかっただけでも凄い事だと思いますよ。あの予告詐欺ばっかりやってるEAもUbiも結局今でも予告詐欺を続けているぐらいだし。そういや予告詐欺の先駆者、Guerrilla Games(Killzoneの会社)ってまだあるのか?と思ったらHorizonってここなんですね。Horizonについては特に追っていない(機械の恐竜みたいのが出るのは知ってる)ので良く知らない。