2012年12月29日土曜日

アマガミ

2/2  ちょっとおまけ劇場リップシンクについて訂正
私はAdvでは必ずメッセージ速度を最速にするため気が付かなかったが、文字表示が「普通」の場合、リップシンクが行われる。


知ってる人には説明不要だろうし、知らない人には私が上手に説明できるとも思えないので、以下の記事が紹介記事としては秀逸だと思う。

“アマガミスト”が猛烈に語る『アマガミ(エビコレ+)』プレイインプレッション

所謂ギャルゲーなのだが、このゲームが他のギャルゲーと大きく違うのはフラグがヘクス地図(63x63)になっていてフラグの有効期間、排他性等が視認できるシステムになっているという事だ。
初めて見た時「うわぁ…作るの面倒だったろうな、これ」って感じだったが、恐らくデバッグは地獄だったと思われる。

タイムスライスのシステムとしてはelfの同級生(elfの、と付けてしまうのに時代の流れを感じる)が続編も含めて非常に優れていて、作るのがあまりに面倒なのかしょぼい模倣作以外存在しないという希少な存在となっており、「絶滅したのでは」とか思っていた所に突然出現したのがアマガミだった。

通常のフラグ管理+ルートシステムの場合、歴史の年表のように一方向に進むのが普通である。つまり「○○というイベントは6月27日に発生する」と言った感じに作られる。タイムスライスの場合は例えば「ローマ帝国はAD200年頃に滅ぶかも知れないし、あるいはAD2200年頃に滅ぶかも知れない」と言った感じにフラグの受容期間に幅が設けられる。例えば同級生2だと1時間ぐらいの受容期間しか無いフラグから、2週間にも及ぶ受容期間が設けられているフラグもある。実際には何箇所かに収束ポイントを設けてある程度の整理を行うため、混沌とした状態には通常ならない。ただ、作るのは恐ろしく面倒なのが特徴だ。(デバッグは更に地獄)

所でタイムスライスのシステムを実装する際に一番大変なのはフラグを組み立てる事では無い。Advゲームを作る際、特にシナリオで一番やっかいなのは情報の管理である。更にライターが複数になると増えるとやっかいでキャラクター設定から読み取りすぎる人、あるいは全く読み取れない人が出てきてしまう。この辺を機械的、アプリケーション的に処理できるような仕組みは多分存在しないので概ね誰かが統括して辻褄をあわせなければならない。考えただけでも胃が痛くなりそうだ。

最も、じゃあ一人で書いたらいいのか?というと物理的に困難なケース(ライターを擦り切れさせてしまったりとか)もあるがゲームとしては複数で書いた方がアクセントとなって良いケースが多いように思われる。出来れば2人より3人であるとか。2人だとくっきり分かれ過ぎる様に思う。シリアスが得意な人もいるし、軽いのが得意な人もいるだろう。

…脱線したので話を戻す。これだけややこしいシステムなので開発は当然のように難航した。この辺は公式攻略本とアマガミ応援本を読むとよく分かる。

どれぐらい難航だったのかと言うと「もう少し遅れたら七咲はカットだった」という状態だったのだそうだ。もちろん当初の予定を全て実装できたという訳ではなく、カットした要素も沢山あるらしく(この辺も前述の本で触れられている)データ的には残っている物もあるらしい。商業のゲームは無限に開発時間を取れる訳ではない(発表から15年間続いたDNFが異常な例)。特にコンソールの場合発売した段階が完成版な訳で、その辺を実装した物を見てみたかった気もするが現時点ではとても完成度が高いゲームだと思う。

エビコレ+版の方がバグの修正が行われており、若干の追加要素がある。パッケージはオリジナル版の方が良かった気がするが、新しいパッケージの謎は追加要素でわかる。PSP版も出ているのだそうだが、違いは解像度だそうで、PS2版より若干縦が短いらしい。PS2を持っているのであれば、PS2版の方が良さそうだ。

音楽は季節が冬な事もあって静かな曲が多い。曲数はかなり多いが、ゲームに良く合った曲だと思う。ゲームには残念ながら音楽モードが無い。コンフィグでFM音源版にも切り替える事が可能。また、声を8ビット時代Advで使われたセリフ効果音版を実装している。
PC8801SRのバーニングポイント
台詞部分の「ぽぽぽぽぺぽぱぽ」みたいな効果音を指す。

PCでアマガミちょっとおまけ劇場というファンディスクが出ている。
元々、Tech Gianという雑誌の付録だったらしく、EX1からEX6まである。また、GSというエビコレ+版の追加エピソードの後日談が存在する。

EX1からEX6まで全部買うとかなり高価だが、EX5とEX6の残りエピソードのアンロックには全エピソードが必要というのがちと高い。元は\1,500円なのでこれでも安くはなっている。でも全部入りで少し安く出して貰った方が買いやすいような気がする。各キャラ1枚の描きおろしイベント画像がある。また、若干の立ち絵の追加がある。ストーリーはどちらかというとシリアス寄りな物が多く、(本編以上に)考証は抜けが多い。とはいえ、世界観の範囲には収まっているため、問題という程でも無い。ゲームエンジンは吉里吉里が使われており、システムはあまり使いやすくは無い。ただ、全部通しても数時間程度で終わるので問題無いと思う。本編は全てリップシンクしていたが、EXは会話開始の一瞬しか口が動かない。(PC9821版ポリスノーツのリップシンクバグを思い出す)最初違和感を感じるが、すぐに慣れると思う。

背景はごくわずかな例外を除き、本編を流用しているが、解像度が高いため、背景を見るのが好きな人には楽しめると思う(1月に入っているのにクリスマスセール12/1~12/31という表記が見えたりして)。また、解像度が高いため、立ち絵も精細で、本編だと解りづらい立ち絵のディテール(特に森島の旋盤で金属加工した時に出る削りかすのような美しい髪…こう書くと褒めてるように見えないかも知れないが褒めています)がよく見えるので「すげぇな…これ」と感心できる。

GSはDMM.comで販売している
エビコレ+版の麻雀エピソードから続く話(起動時に警告が出る)なのでその後に遊んでいないと駄目だ。話はEXに比べるとかなり長い。麻雀のおまけエピソードの続きなので主役はあの人。私はAdvにおける視点切替は最小限にして欲しい方なので正直面白くは無かった。好みがわかれる作品だと思う。

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