2020年3月29日日曜日

無料で市販ゲームを配るのは危険である

今から数十年前、ゲーム雑誌などにフロッピーディスク(後にデモ容量の増加に伴いCD-ROM、DVD-ROMと変化していった)が添付されていた。日本でも時々デモ版を添付していたはずだ。

欧州では専門誌(特定のPCのみ、例えばC64のみとか)の大半にはディスクが添付されており、ゲームの体験版を遊べるのが普通だったのだ。ちなみに東欧とかではカセットテープが付いていたらしい(8bit機しか無いとか、そもそもフロッピードライブが高価だったりとか)。

ある時、製品版のゲームが添付された。発売されたが特に話題にもならなかった結構前のプラットホームアクションだったようだ。が、雑誌のこの号が凄く売れた。負けられん!という訳で各誌対抗して製品版のゲームが添付され、付くゲームもどんどんエスカレートしていった。フルプライスのゲーム、より新しいゲーム…挙句にはバランスオブパワー1990版までついていた。

流石に雑誌会社も「これは不味い」と思ったのか各社が協調して製品版のゲームを添付するのはお開きとなった。この間半年も無かったと思う。雑誌会社の実弾の問題も大きかったのだろうが、どうやらゲーム自体の売り上げにも影響があったらしい(この辺伝聞なので資料的な物はWebを探しても見つけられなかった)。

現代にあってはゲームは情報が簡単に手に入り、昔に比べれば非常に安価な値段で楽にゲームが手に入る。認知度を上げるには考慮すべき手段なのかも知れないが、古いゲームならともかく、無料で配られたゲームは無料で配られたゲームでしかなく、会社は「ゲームを無料で配った会社」となる。期間限定とかならともかく、そんな古びてもいない作品を無料で配布するのはデメリットの方が大きいと考える。

ユーザの欲求は絶対下がらないモノなのだから、少々古いゲームを無料化した所で見向きもされない様になるかも知れない。実際配られるゲームはどんどん新しく、規模の大きなゲームとなっている。私個人としてゲームは文化事業であるとは考えていないのだが、GOGとかは古いゲームをメンテして販売している(Steamは自社以外の製品は全くメンテしない。なので動かないゲームも沢山ある)から彼らは確かにゲームに対して文化的貢献をしている。もちろんそれには金が掛かる訳だ。だからゲームは文化や芸術である、と唱える人から何か提言があっても良さそうなものだが、全くそういうのは聞こえてこない。まぁ言っても「無粋な事言うなよ」とか言われるのが落ちだから言わないのか?

ゲームを買う事もゲームの一部だと思う。例え「ふざけんな!」って作品であっても私は返金を求めた事は無い。実の所、本当に動かなかったゲームとかでも。それもゲームの一部だと私は考えている訳なのだが、まぁそう考える人は稀なのを置いておくとしてもだ、市販ゲームを無料で配るのは長期的に見てメリットを見いだせず、危険であると私は思う。

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