2025年6月29日日曜日

The Alters

The Alters | Launch Trailer

ゲームは面白い。内容は好みが分かれそうな感じだ。


本編のネタバレはしないつもりだが、多分するだろう。こういうジャンルが好きで興味があるなら色々目にする前に手を出した方が良いと思う。(この辺、序盤を遊んだ時に書いている。以下の※の通り、プレイは中断している)


※現在第3章ぐらい。結論から書くと序盤は素晴らしかった。中盤から破綻が始まり、終盤はドリフ。「もしもこんな惑星開発があったら」ってタイトルが適切か。多分当分続きはやらない。DLCはエンディング追加辺りか?





結構発表されてから発売されるまで掛かった気がする(Steamでの最初の更新は2022年9月だった)が、最近良くある直前で延期って事も無くあっさり出た。Deluxe版が3割引き(大体\4,000円ぐらいだった)だったのでDeluxe版を買った。作業着(宇宙服みたいの)、サントラ、この先出るDLC1つなんで、その辺興味無かったらStandard版でも良いと思う。

諸事情からたった一人生き残った人物の人生分岐を切り替え別な人生を生きた自分を作り出す。FrogwaresのCrimes & Punishmentsを思い出すようなシナプスもどきみたいな人生の鍵となる部分を選び別な「自分」が登場する。その背景には東欧っぽい人生が描かれ、重い。北米のゲームでもこういう背景が描かれる事があるがこちらはまぁ本場だけあって生々しい。Frostpunkもそういう所が生々しかった気がする。

ゲームを始めてすぐに様々なSF作品が頭を過る事になると思う。ただ、ちゃんとオマージュに留めてあり、どこぞの作品みたいに生ージュにはなっておらず真面目に作られている。

ゲームとしては探索、資源の採集及び採掘、資源管理、車両内の建築(資源を消費して建築するが、移設に制限は無い)を繰り返す。「自分」によって様々な特性があり、序盤の終わりぐらいからどの「自分」を登場させるか、という選択になるんだろうか?まだそこまで進んでいないのでその辺は不明だ。「自分」の数だけ寝る場所も食べる物も必要なので(+その時点での呼び出せる「自分」の数には制限がある)誰を登場させるのか、というのもゲームの進め方に影響を与えるのだろう。

ゲームとしては他のゲームでは面倒な部分を結構ばっさり削り(例えば、資源に「水」は無い)、シンプルさを保っている。なのでメインは探索と資源の採集及び採掘となる。時間制限とエナジー(高所を登ったりするのに消費される)をやりくりし、採掘場所を調査し、採掘塔を建て、基地とパイロンで接続する…基地と接続しないと動かない。また、採掘塔やトラベルパイロンはファストトラベルポイントになるので、リソースを見ながら遊ぶ事となる。マップはどんどん広くなり、複雑さを増す。多分、日数に制限があるのでずっと無為に過ごしていると駄目なんじゃないだろうか。ファストトラベルポイントを決めるのが大事なんだなと感じる。

ストーリー。正直そこまで面白いと感じない。まぁ新鮮さを感じないのもあると思うが「自分」との関係ってギャルゲーのイベントぐらいの関係なのだ。RTSのユニット以上、Advゲームの登場人物以下という感じで自主的に余り動いてくれない。なので「自分」というより「自動人形」といった感じなのに、突然イベント会話で盛り上がられても特に何とも思わない。ここは醒めるのが早かった。ストーリー的には「自分」達と強力しつつ危機を乗り越えるってなっているものの、ゲーム的には自分以外はこちらの指定した行動を取るだけだ。まぁここが上手く行かなかったから発売まで時間が掛かったのかも知れない。

Frostpunkの様にモラルチョイスがあるが、客観的な立場から選択していたFrostpunkに比べ、主観的な立場で判断しなければならない(しかも「自分」達はまず非協力的である)ので嫌さが際立つ。これがこのゲームの売りだと思うと同時に好みが分かれそうだと思える。多分、どっちを選んでも嫌な気分になる作りなのだろう(ここはFrostpunk以上の嫌さだ)。なんというか「モラルチョイス」を入れたかったからこの「モラルチョイス」入れてない?という事を感じる。ここはFrostpunkの方が良く出来ていたと思う。つまり道を踏み外す「かも知れない」選択をするのでは無く、自分の乗ったカゴと誰かの乗ったカゴ、時間切れになるまでにどっちかをレバーを倒して落とす、みたいな「モラルチョイス」に感じられる。デザイナーは悩んで欲しいぐらいの気持ちかも知れないがプレイヤーにはもう一つの選択肢がある。それはプレイを止める権利があるという事だ。不愉快過ぎる「モラルチョイス」は当たり前だが不愉快しか産まない。このゲームのモラルチョイスが全て不愉快という事は無いが、うんこ味のなんとかみたいな「究極の選択」臭がある。ここは多分褒めてる人にウケがいいのでは無いだろうか?私は正直安いと思う。

せっかくの「自分」達って設定が余り生きていない。「モラルチョイス」になったら全員集まって決めれば良いのでは?なんで主人公が決めさせられて責任まで取らされるのだろう。まぁ生産者責任と言われたらそりゃそうだと思うのだが、正直生き残りたい(&資源を持って帰らなければ地球の危機を救えない)のではあるが、「モラルチョイス」と「自分」達の非協力さ加減に「いいじゃん。別に帰れなくても」という気持ちは大きくなる。Frostpunkではなんとか犠牲を減らし、生き残らせたい、という感情はあった。The Altersではゲーム的には当然死にたくないものの、ストーリー的には「まぁ…いいんじゃないの。別に勝手にすれば」という気分がする。「自分」を造るってアイデアは良かったのだと思う。ただ、それがゲームとしては歯車が嚙み合っていない。どちらかと言うとアイデアが足を引っ張っている。

これだったら資源をやりくりして、用途別ロボットを作ってサバイバルする、でも成り立つよな。「モラルチョイス」さえ無ければ。探索と資源管理と「自分」達は最初噛み合っていたと思うのだが、探索と資源管理「とは別に」モラルチョイスってのが感じられるのが残念だ。探索は面白いと思う。研究で新しい装備が探索を便利にしたり、問題を解決したり出来るのは面白い。私は多分ここが一番楽しく感じているのだと思う。モラルチョイスはというと、先に書いた通りどんどん安く感じられる。Space Colonyを思い出したが、あの作品同様にデザインの焦点がボケている。

で、話が進んで資源管理が崩壊。Talos Principleみたいになる。The Altersのプレイヤー達は皆Talos Principle好きだろ?って事なのか?「なんでこんなくだらない事をやらされねばならんのか…」という気分に。いやTalos Principleはそういうパズルゲームが好きな人向けのゲームだからあれで良いと思うのだが、このゲームのプレイヤー達はそうなのか?

この辺りで「自分」達の設定は完全に崩壊し、自分と全然違う「自分」の話になる。調べてはいないが多分メインルートは2つなんだろう。じゃあ他の「自分」に全然意味がないんじゃないのか?The AltersなのにこれじゃMe VS Alterじゃない。先を見たい部分が消滅したので…探索?…んー探索もマップのデザインがすげぇ劣化してひたすら走るみたいな作りになったんだよね。

ゲームを始め先に進めば進むほどゲームはボロボロになっていく。序盤の終わりには自分と「自分」達との交流に意味が無いのはわかるだろう。建設のフィーチャーも同様だ。11 bit studiosとしては急いで発売させたのかも知れないが、メインであるシステムとしてのAltersの出来はお粗末以外の言葉が無い。少なくともシステム的に目指した物は何一つ機能しておらず、ただ無意味な残骸が残っているだけだ。フリープレイモードみたいので生きるのか?わからん。最悪なゲームとは言わんが失敗作だ。